クライアントの話を聴き取るためのポイント

コーチングでクライアントと話すだけでは、パラダイスシフト(価値観が180℃変わること)を起こすのに十分とはいえません。クライアントが話した表面的な言葉だけでなく、その話の背景も聞き取る必要があるのです。人間は相手の話を聞いているようで聞いていない事態が起きたり、異なる解釈をしてしたまま会話が進んでいくこともあります。

1、クライアントの話を聴き取る為のポイント

相手の話を聴き取る為にはさまざまな視点を持ち合わせていなくてはいけません。そもそもコーチングを通してどんな結果を求めているのか、ほしいと思っているのか?それをクライアントとの会話のなかでテーマを明確にして決めていかなくてはいけません。そのうえでこのクライアントが前に進めなくなっている原因はなんだろう?妨げになっているものは?など成長の妨げになっているものを探っていく必要があります。

  • 姿勢…クライアントが無意識のなかでどんな言葉を繰り返しているのか?
  • 一致…話の内容やトーン、話のつじつまがあっているのか?
  • 必要…クライアントのニーズを聞き取る ※誰でも持っているもの
  • 価値観…クライアントの価値観を知ることは重要。一番大切にしているものは?
  • 強み…クライアント自身の強み、見つけた理由、発揮できる環境
  • 動機…クライアントの動機は?見つける方法、どうやったら動くのか
  • 文化的背景…社会的団体のメンバーにとる特有の態度や振る舞い、影響を受けること
  • 言外…語られていないことのなかから読み取ることができるもの
  • 調子…話す調子にも注目し言語以上に表現しているのか?
  • シナリオ…クライアントの物語や未来のイメージ

人間は、なにか物事を決断するときに決められたパターンが存在します。コーチと話すことによって、クライアント自身が気付いていなかった思考や選択肢に気付くこともあります。人間は面白いことに、事実がそのまま自分に影響するわけではありません。その事実に対してそれぞれの人間が解釈しています。そのため同じ経験をしている人であっても、解釈の仕方によって体験する内容が大きく変わっていくのです。

例えば

「職場の上司が部下の話しを聞き入れてくれない」
「接客がなっていないアパレル店員が頭にきた」
「自分の能力不足で仕事が思うようにいかない」

などの問題に直面したときに、相手に変わってもらうのかもしくは自分が変わるのかを選択しなくてはいけません。ただ大抵はいい結果にならず「視点を変える」という新しい選択を迫られるようになるのです。

2、知覚によってクライアントを知る

ある場面を思い浮かべるときに、見る立ち位置によっても印象が変わります。例えば「一人称」であれば、自分がみたそのままのイメージになります。「二人称」なら相手の立場から見ているもの、「三人称」なら当事者だけでなく第三者的な立場の人になります。

一般的に楽しい場面を思い浮かべるときは「一人称」がいいですし、悲しい場面を思い浮かべるときは「三人称」のほうが、辛い気持ちも軽減されます。あなた自身が何かを思い浮かべるときにどの視点から見るのかを思い出してみるとわりやすいと思います。

もちろん、クライアントがどの視点なのかも重要なポイントです。知覚を知ることでより効率的なコーチングができるのです。知覚を知ったとしてもそれを無理に変えようとするのはNGです。

3、物事の捉え方を知ること(相違点や相似点)

人間は同じものを見ているようで、それぞれに捉え方が違います。例えば同じものなのに「相似点(マッチ)」を探している人もいれば、「相違点(ミスマッチ)」を探す傾向のほうが強い人も存在します。

これは人間のそれぞれに比較様式プログラムが認識されているためになります。両者とも間違えているとか、どっちのほうがいいというわけではありません。例えば話をしていて「それはいい考えだね」とマッチする人もいれば「それは難しいね」とミスマッチし、否定的な意見を述べる人もいます。

例えばコーチングでよく言われる表現の一つに「マッチャー(同意)」と「ミスマッチャー(否定)」があります。それぞれが活躍できる場が違うというだけで性格的な問題ではありません。

例えばミスマッチャーでいえば何事にも否定的な意見を持てる分、慎重に作業をしなくてはいけない場面の仕事に向いています。経理や総務などはある程度疑う目を持たないと仕事は成り立ちません。ただ会話をするだけなら同意してくれるマッチャーのほうが熱き安さはあるようです。

4、人には判断と行動にそれぞれのパターンがある

人間は無意識のうちに自分を同じ考えを周りの人も持っているものと認識してしまいます。でも本当にそうでしょうか。人間の数が存在する分、考え方や判断・行動は違います。どれも否定するものではありません。コーチはその点を理解してクライアントと接していくことが求められるのです。

例えば「内的基準型」と「外敵基準型」がいるのを知っていますか。それぞれ簡単に説明すると、内的な人は常にい順は自分の内側にあるので物事を決めるときになんでも自分を主体にします。なんでもすぐに決められる反面ときには強引に見えてしまったり頑固な一面もあり、扱いにくさを感じることもあります。

外的な人は常に基準が外にあり周りの人の意見を大事にします。ただし周りの人に流されやすくなってしまい主体性がかけてしまうこともあります。それぞれに偏っている人は自分に足りないものにも視点を向ける必要があります。

なんでも内的に考える人はときには周りの意見を聞くなど視野を広げていかないと、人間関係のトラブルが多くなってしまいうまくいかないこともあるのです。

5、まとめ

相手の話を聴きとるというのは単純なようで難しいもの。同じ人間でも捉え方や考え方にも違いがあることを認識し視野を広げた話ができないとコーチとしての役割は果たせません。