アドラー心理学を活用した自己成長のための3つの方法

自分自身の成長や改善を望む人が多くいますが、どのように取り組んでよいのか分からず困っている人もいるかもしれません。

本記事では、アドラー心理学を活用した自己成長の方法について解説します。

自己分析、自己改善、自己肯定などについて具体的な手法やメリットを紹介し、自己成長に向けたアプローチをお伝えいたします。

また、自分自身の欲求や目的意識を見つけ、自己分析を行う方法や、自己改善のための具体的な手法、自己肯定の大切さについて学ぶことができますので、より良い人間関係を築くことや、自分自身を肯定的に見ることができるようになるでしょう。

自己成長のための3つの方法

アドラー心理学は、自己実現や社会的利益を促す支援を行うための心理学であり、自己成長のための方法として有効です。

具体的には、自己分析、自己改善、自己肯定などの方法があります。

自己分析では、自分自身の価値観や人生における目的を明確にすることが重要です

自分自身を客観的に見つめることで、自己理解を深め、自己成長につながります。自己分析のためには、自分自身の内面を観察し、問いかけることが必要です。

自己改善では、自分自身の短所や欠点を認め、それを改善するための行動を取ることが大切です。

自分自身の課題を明確にし、目標を立て、計画を立てて行動することで、自己改善ができます。

自己肯定では、自分自身を肯定することが重要です。自分自身の長所や優れた点を見つけ、それを強化することで、自己肯定感を高め、自己成長につながります。

自己肯定のためには、自分自身を褒めることや、自分自身に対するポジティブな言葉をかけることが有効です。

これらの方法を実践することで、自己成長が促進され、より充実した人生を送ることができます。
それぞれの項目を詳しく解説していきたいと思います。

1、自己分析をする

自己分析とは、自分自身を客観的に見つめ直すことで、自分自身を知り、自己理解を深めることです。

アドラー心理学では、自己分析を通じて、自分自身の価値観や行動パターン、思考パターンなどを把握し、自分自身を肯定することが重要視されています。

自己分析の方法としては、日記を書く、問いかけをする、自分自身の行動や言動を振り返るなどがあります。

ここでは、自分自身に問いかけることで自己分析を行う方法を紹介します。

具体例

自分自身に対して以下のような問いかけをしてみましょう。

  • 自分が何をしたいのか、何が大切なのか、どんなことを目指しているのかを改めて考えてみる。
  • 自分自身の強みや弱みを知るために、自分が得意なこと、苦手なこと、好きなこと、嫌いなことを振り返ってみる。
  • 自分自身がどのような「思考パターン」※1を持っているかを知るために、「自分がどんな風に考えているのか」※2 を意識してみる。
  • 自分自身の行動や言動がどのような影響を与えているかを知るために、自分がどのように行動しているのかを振り返ってみる

自分自身に問いかけることで、自分自身を客観的に見つめ直すことができます。

自分自身がどのような人間なのかを知ることで、自分自身の強みや弱みを把握し、自分自身を肯定することができるようになります。

補足1:思考パターン(※1)

上記で説明した「思考パターン」(※1)には、以下のようなものがあります。

  1. 物事を「正しいか・間違っているか」、「勝ちか・負けか」など、2つの極端な考え方に分けてしまう傾向
  2. 1つの出来事から一般化して全体を決めつける傾向
  3. マインドリーディング:他人の考えや気持ちを自分の思考に基づいて推測する傾向
  4. 小さな問題を大きく見たり、大きな問題を小さく見たりする傾向
  5. パーソナライズ:他人の行動を自分に向けた攻撃や評価として受け止める傾向

    などが挙げられます。

    補足2:自分がどんな風に考えているのか、その種類(※2)

    上記で説明した「自分がどんな風に考えているのか」(※2)を意識することは、自己理解を深めるために非常に重要です。

    具体的な考え方の例としては、以下のようなものがあります。

    1. 自分が持つ考え方が、全て正しいとは限らないことをどのくらい認識しているか
    2. 自分が感じたり考えたりすることに対して、どのくらい客観的に見ることができているか
    3. 自分の思考や感情に対して、どのくらい柔軟であるか
    4. 自分の思考や感情を客観的に見ながら、他者とのコミュニケーションがどれくらい円滑にできているか
    5. 自分が抱える問題や課題に対して、様々な観点から考えることで、より多角的な解決策をどのくらい見つけられているか

    などが挙げられます。

    2、自己改善をする

    自己改善は、自分自身の課題や問題点を改善して、より良い自己像を構築することを目的としたプロセスです。

    アドラー心理学では、自己改善には「自己啓発」と「行動変容」が必要だとされています。

    自己啓発とは自己を知り、自己の可能性を広げること、行動変容とは自己の課題や問題点を改善するために実際に行動することです。

    具体的な自己改善の方法としては以下のようなものがあります。

    1. 目標設定を行う
      自己改善のためにはまず、自分が何を改善したいのかを明確にすることが重要です。そのためには、自己分析の結果を踏まえて、自分が達成したい目標を設定しましょう。目標を設定することで、自分が何をしたいのかが明確になり、自己改善に向けた意欲が高まります。
    2. 行動を変える
      目標設定を行ったら、具体的な行動計画を立てましょう。自分が何をすべきか、どのような行動を取るべきかを考え、実行に移します。行動を変えることで、自分自身の課題や問題点を改善することができます。
    3. 肯定的な思考を持つ
      肯定的な思考を持つことも、自己改善には欠かせません。自分自身を否定的にとらえることが多い人は、肯定的な自己イメージを持つことを意識するようにしましょう。自分自身の強みや良い面を見つけ、それを積極的に肯定することで、自己肯定感が高まります。
    4. 周囲の人とコミュニケーションを取る
      周囲の人とのコミュニケーションを取ることも、自己改善には重要です。周囲の人とのコミュニケーションを通じて、自分自身の問題点や改善点を知ることができます。また、周囲の人との関係を良好に保つことで、自己肯定感が高まります。

    補足:目標設定の具体例

    自己改善においては、目標設定が非常に重要です。

    目標を明確にすることで、自己改善に必要な行動を取ることができます。
    以下に、目標設定の具体例をいくつか紹介します。

    • 健康を改善するために、週に2回ジョギングをする。
    • 読書をする時間を増やすために、毎晩30分間本を読む。
    • コミュニケーション能力を向上させるために、毎週1回は何のスキルを人に活用する。
    • ストレスを減らすために、週に1回は瞑想をする。

    などなど、以上のように、目標は自分自身が取り組むべき課題に応じて様々です。

    目標を設定する際には、SMARTの原則を参考にするとよいでしょう。

    すなわち、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限がある)の5つの要素を考慮します。

    これによって、目標が明確で実現可能なものになり、自己改善の効果を高めることができます。

    3、自己肯定をする

    自己肯定とは、自分自身を肯定し、自信を持って自分の意見や行動を認めることです。

    アドラー心理学では、自己肯定感が高い人は、自分自身に対してポジティブな考え方を持ち、他人との関係性もよく、健康な精神を保つことができるとされています。

    自己肯定感を高めるための具体的な方法をいくつかご紹介します。

    自己肯定感を高めるための具体的な方法例

    1. 自分自身についてポジティブな考え方を持つ
      自分の長所や良いところを見つけ、それを自分自身に言い聞かせることが大切です。また、失敗やミスを反省し、次に活かすことができるように自分自身を励ますことも大切です。
    2. 自分自身の価値を認める
      自分自身が価値ある存在であることを自覚し、それを他人からも認められるように努力することが大切です。自分自身にとって大切なことや、得意なことに焦点を合わせることで、自己肯定感を高めることができます。
    3. 自分自身を比較しない
      他人と比較することで、自分自身を貶めてしまうことがあります。自分自身と他人を比べるのではなく、自分自身の成長に焦点を合わせることが大切です。
    4. 自分自身に対して優しく接する
      自分自身に対して、厳しい言葉をかけるのではなく、優しく接することが大切です。自分自身に対して、他人に接するように優しく接することで、自己肯定感を高めることができます。
    5. 自分自身の好きなことをする
      自分自身の好きなことや趣味に時間を割くことで、自分自身に対してポジティブな感情を持つことができます。自分自身の好きなことをすることで、ストレスを減らし、自己肯定感を高めることができます。

    以上が、自己肯定感を高めるための具体的な方法です。

    自己肯定感を高めることで、自分自身の幸福感や生きがいを見つけることができるため、アドラー心理学の観点からも、大変重要なスキルになります。

    また、自己肯定のためには、以下のような実践的な方法があります。

    自己肯定のための実践的な方法例

    • 自分の強みや良い点を振り返る
      自分自身の良い点や強みに気付くことで、自分を肯定することができます。自分の良い点を振り返る際には、自分の過去の成功体験や良い思い出、周囲の人からの評価などを考えてみると良いでしょう。
    • 自分に対する言葉遣いに注意する
      自分に対して否定的な言葉遣いをしていると、自己肯定感を下げてしまいます。自分に対しては優しく、穏やかな言葉遣いを心がけましょう。
    • 失敗をポジティブに捉える
      失敗やミスは、自己肯定感を下げる原因の一つです。しかし、失敗を機会ととらえ、何が原因で失敗したのか、どう改善すれば良かったのかを考えることで、自己成長に繋げることができます。
    • 自分の欠点を受け入れる
      完璧な人間はいません。自分には欠点があるということを受け入れることが、自己肯定感を高める一つの方法です。自分の欠点を受け入れることで、自分に対するストレスやプレッシャーを減らすことができます。

    以上のように、自己肯定感を高めるためには、自分に対して優しく、ポジティブに考え、自分自身の強みや良い点を見つけることが大切です。

    まとめ

    アドラー心理学を活用した自己成長には、自己分析、自己改善、自己肯定などが大切です。

    自己分析では、自分自身を客観的に見つめ直し、自分の強みや弱み、思考パターンを把握することができます。

    自己改善では、改善したい点を明確にし、具体的な行動計画を立て、着実に取り組むことが重要です。

    自己肯定では、自分自身を肯定し、自分の長所を認めることで自信をつけ、ポジティブな思考に切り替えることが大切です。

    これらの方法を組み合わせて、自己成長を促進し、自分自身をより良い方向に導くことができます。

     

    参考資料:

    • アルフレッド・アドラー著
      『個性の創造』(1927)、『アドラー心理学』(1929)、『社会感覚教育』(1933)、『自己信頼の心理学』(1942)
    • Adler, A. (1927). The Practice and Theory of Individual Psychology. Harcourt, Brace & Company.
      Mosak, H. H., & Maniacci, M. P. (1999). A primer of Adlerian psychology: The analytic-behavioral-cognitive psychology of Alfred Adler. Psychology Press.
    • Carlson, J., & Englar-Carlson, M. (2017). Adlerian therapy: Theory and practice. American Psychological Association.
    • Sharf, R. S. (2015). Theories of psychotherapy and counseling: Concepts and cases. Cengage Learning.