コーチングの流れ-その1

コーチングを行う以前に、必ず覚えておきたいのが「コーチングフロー」です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、クライアントを目標に向けて動かす為の戦略的なコミュニケーションの手順でもあります。今回はコーチングを行ううえで必ず身につけておきたい、コーチングフローとセットアップについて、わかりやすく説明していきます。

1、コーチングフローとは

コーチングフローとは、「コーチングの戦略」の意味合いを持ちます。クライアントをどうしたらゴールに導くことができるのか、それが1回のセッションだったり、全体像を把握する為の戦略を作っていかなくてはいけません。もしコーチングフローについて正しく理解できずに進めてしまうと、セッションが空回りしてしまったり適切な着地点が見いだせず問題の解決に繋がらない事態が起きてしまいます。

  1. セットアップ(環境つくり)
  2. ゴールを設定する
  3. 現状の位置を確認し明確化する
  4. 現状とゴールの間にあるギャップの分析
  5. 行動計画を立てる
  6. フォローと振り返り、フィードバック

セットアップは特に意識しなくてはいけません。クライアントが話しやすいと思えるような環境を作ることが重要です。人間は初対面だったり関係性ができていない相手を前にすると必ず防衛心が出てきます。なんでも気兼ねなく話し相談できうような環境を作ることも重要なことです。

初対面のときに関わらず、すべてのセッションにおいてこれは欠かせないものです。優しいトーンや声で話したり、いつでも喜んで受け入れますなどウェルカムの気持ちを表現することも大切なことです。例えば上司や部下の立場に置き換えて考えると攻撃的な態度を取ったり、なんでも自分が優位に立とうとするような態度だと、部下にとっても話しづらいと感じる原因になります。

2、コーチングのスタートラインアセスメントとは

コーチングのアセスメントとは、質問のリストのことです。クライアントが今どんな状況にいるのか、それを把握し改善していきます。目標に向けてどうやって進んでいけばいいのかを明確にするときにも使える方法です。クライアントとコーチングを行うためには、まずは基本的な情報を手に入れる必要があります。さまざまな領域のアセスメントを用意しなくてはならず、これをきっかけに自分では気付いていなかった領域について考えることになります。

コーチングをスタートする前に、どのぐらいアセスメントができるのかがコーチングの結果に深く関係しているといえるのではないでしょうか。ただしコーチングは一方通行では成立しません。クライアント自身が持ってるファウデーション(個人の基盤)が弱いと、どんなに促してもゴールに向かっての行動には繋がらなくなってしまいます。コーチの仕事は一つの仕事をこなせばいいものではなく、同時にさまざまなタスクをこなすことがとても重要なことになるのです。

3、コーチングではゴールの設定はより明確に

コーチングフローのなかにあるゴール設定についてですが、何事にもゴールは重要なものです。例えばマラソンをしていて長距離を走っていたランナーがいるとします。もしマラソンにゴールがなかったらどう思うでしょうか。

どこに向かうべきかわからなくなってしまう人もいるはずです。わたしたちの日常生活においても同じことがいえます。ゴールを設定することによって、今の自分の立ち位置を明確にしてこれから起こすべき行動が明確になります。

余計なエネルギーを使うことがなくなり、目標への道のりを達成することができるのです。

ゴールを持つことによってより具体的なものになり、どうやったら達成できるのかヴィジョンを明確にすることができます。ゴールを通して未来を見れるので、創造しやすくなります。

またゴールをはっきりとすることによってエネルギーの分散を防ぐのはもちろん、未完了のままになっていたものを完了させ、余計なものを持たずに身軽な状態を維持することもできます。ゴールがあると同じ考えを持った相手と自然とコミュニケーションが生まれたり自分から学習したり状況の対応能力が開発されます。

ゴールを持つことによってやらされていると思い込むのではなく、自ら進んでやっていると思えるのです。ゴールについていかに重要なことかがわかりますね。

4、クライアントに行動を促す為の方法

どんなに「行動に移すこと」と言われたとしてもすぐにそれができる人ばかりではありません。実際にアイディアを生み出して実現するのは全く違った部分での話になります。コーチングで最も重要なことは行動を促すことです。

例えばクライアントと話すうえで選択肢を増やすことも必要です。「やるかやらないか」を決めさせるのはある意味、脅迫のようなものです。なかにはやらない選択をする人も少なくありません。クライアントにYESかNOだけではなく選択を3種類以上与えることで、自分が選んだ感覚を強く持つことになります。

また、行動をより具体的にイメージすることを「フューチャーペーシング」といいます。クライアントによっても見えるものが違いますし、いつ・どこで・どんな状況で行うのかいよっても違ってきます。クライアントがそれを楽しんでいるようであれば何かしらの行動に繋がるエネルギーに鳴ることも考えられます。

最後に、ゴールを設定したもののなかにはうまく行かずに挫折を経験する人もいます。人間ですし、必ずしもうまくいくとは限りません。コーチ自身が思い描いた結果になるとは限りませんし、それは現実にはとても難しい点だといえます。

行動を促しそれがクライアントにとってトラウマになってしまわないように、常にフォローして気持ちを持ち上げていくことも求められます。行動を起こすまではどの程度フォローできるのかによっても変わるのです。

5、まとめ

コーチングの流れコーチングフローについて説明しましたが、どれも重要なものであることがわかると思います。クライアントに行動を移す、ゴールを設定するなど言葉にしてしまえば簡単なものですが、思ったとおりにいかないことはたくさんあります。それをどうやってゴールに導いていけるのかがコーチの腕の見せどころです。