コーチングを練習しよう!

コーチング・スキルのトレーニングを行うことを「コーチング・エクササイズ」といいます。

「コーチ役」、「クライアント役」、その他の人は「オブザーバー」として參加し、コーチングの様子を観察します。
いずれも重要な役割を担うものになり、それぞれに気付きも多く身につけるべきコーチングの練習方法です。

1、コーチング・エクササイズとは

コーチングの時間

コーチングの基本的なルールを踏まえて行います。
数を多くこなすことを目的にしていますので、1回のセッションの時間は短めにします。
約5分程度のセッションでも良いです。10分~15分程度行っても構いません。

ただし、セッションの途中で止めるのではなく、時間を決めておくこと、決められた時間内で行う習慣をつけるために、セッションの前に時間を決めておいてください。

練習内容

コーチングエクササイズでは、コーチの役割として「プレ・コーチング=ゴールを決める」「聞くこと」「質問」「リクエスト」「アクノレッジ=承認すること」「フィードバック=振り返り」を行います。
目標を決めてから、相手にフィードバックを伝える、までが一つの流れとなります。

コーチング・エクササイズ
  1. プレ・コーチング
    明確なゴールを設定やゴールに向けての大きな進め方を決めます。
  2. 聞くこと
    傾聴します。ただ聞くのではなく、相手を受け止めるようにします。
  3. 質問する
    質問を通して相手が答えを考えるヒントを与えます。非常に重要です。
  4. リクエストする
    相手が考え、決めた行動に対して念を押すことで、相手の決心を強めます。
  5. アクノレッジ=承認すること
    クライアントが出した結果に加えて、過程や努力も含めて承認します。「評価」ではなく「承認」することで安心感を与えます。
  6. フィードバック=振り返り
    自分の言動がご自身で決めた目標とどのぐらいの誤差が生じているのかを伝え、相手に客観的に把握してもらいます。

テーマを明確にしていないとエクササイズで有意義な時間とは言えませんので注意してください。
エクササイズの最後は必ず、振り返りで終わります。

コーチング・エクササイズでのオブザーバーの役割としては、振り返りの時間において、コーチ役の人に対して第三者として感じたことをそのままフィードバックしてあげます。

フィードバックするときのスタンスとして覚えておいて欲しいのが、「正直」「短文、前置きなし」「批判や評価、忠告は控える」「自分の感じたことを話す」「メッセージは1つ」を意識します。

フィードバックを批判的な意見を述べる場所と勘違いしないようにしてください。あくまでも“外界に向けて発信していることに対して返す”がです。

2、コーチングの目的を明確にし意図を見失わない

コーチング・エクササイズをしていると、想定外の展開や結果になってしまうことがあります。なかには相手に伝えたいと思っていたことに対して誤った内容で伝わってしまうことも少なくありません。

自分が何の為にコーチングをしていたのかがわからなくなってしまっては、クライアントの行動を促すことはできません。コーチ自身が本来の意図を見失ってしまうことに原因があります。

コーチの立場としていかに影響力が強く行動や言動がクライアントの人生に関わるのかを理解しなくてはいけません。このことを常に意識して慎重に対応することが求められます。

もしコーチング・エクササイズでうまくいかなくなってしまったときは、一度自分に意識を向け質問をしてみます。

本来の目的は何か?本当は何を達成したかったのか?」など。

コーチングエクササイズはリハーサルのようなものですが、実際にクライアントに対して犯しやすい問題を知り身につけていきます。

例えば焦点にずれが生じている場合や、もともとのコーチングスキルが弱い、コミュニケーション不足や自分本位の考え方など、失敗した原因が必ずあるはずです。

また自分の価値観を相手に勝手に当てはめてしまっていたり、決めつけが原因でコーチングの失敗になっていることもあります。

3、質問例

行動に焦点を当てて、目標に対してサポートしていきます。
そのための質問例です。

1. ゴールを明確化にする質問例

  • 「あなたの理想の状況はどうなることですか?」
  • 「過去や現在のことをまったく考えないで、ゼロから未来のイメージを創るとしたら?」
  • 「あなたの手に入れたい結果はなんですか?」
  • 「目標を達成したときのイメージを聞かせてください」

2. 現状の明確化のための質問例

  • 「実際にやってみてどうでした?」
  • 「今の状況を詳しく教えてください。」
  • 「うまくいっていることは何ですか? うまくいかなかったことは何ですか?」
  • 「これまで解決するために何をしましたか?」
  • 「ここまでやってきて気づいたことは何ですか?」

3. ゴールと現状のギャップに焦点を当てる質問例

  • 「どのようなギャップがあると思いますか?」
  • 「やった方がいいのに、やれていないことは何ですか?」
  • 「やめた方がいいのに、やり続けていることは?」
  • 「目標を達成するのに必要なリソースは何ですか? スキルは?」
  • 「曖昧にしていることは何ですか?」

4. 行動を決定していくための質問例

  • 「あなたの行動計画を教えてください。」
  • 「いつ、どこで、だれと、どのようにやっていきますか?」

4、まとめ

コーチングエクササイズはコーチングの本番に向けての練習のようなものであり、さまざまなケースを想定して行うことによってイレギュラーなコーチングでも対応できるようになります。

またクライアントだけでなく自分がコーチングをしたときの弱みを知ることで本番でミスをしたり方向性がわからなくなってしまうのを防ぐことにも繋がります。

コーチングはコーチ自身の実力によっても変わりますし、クライアントが行動に移せるかどうかが決まります。そのきっかけを与えサポートできる存在がコーチのあり方です。

決して誤った決めつけや価値観で接してはいけませんし、本来の目的を見失ってもいけません。クライアントの為にできることを増やし、コーチングの技術を高めてくださいね。