私たちが日々の生活のなかで何気なく使っている質問ですが、その本質について考えたことがありますか?
質問にはさまざまなものがあり、たった一つの問いかけ一つで相手の心を開かせ繋げたり、上手に導くことができます。
そもそも質問とはどういうものなのかを解説していきたいと思います。
考えることは質問力
上司が部下に、親が子に、先生が生徒に必ず言う歴史的習慣病の一つ・・・
- 「よく、考えろっ!」 「よく、考えなさい!」
- 「おまえ○○だろ! だったら何かいい方法を考えろよ!」
- (TOT)
・・・そもそも、この考えるとはどういうことなのか?
想像してみて欲しい。
何か問題が起きたとき、新しいアイデアが欲しいとき、あなたの頭に都合よく、その答えが湧いてきただろうか?
答えを導く前には、必ず質問があるはずだ。
人によって考え方や方法論は違う。
その基となっているのが、自分自身への問いである。つまり、質問方法。
- 「あ~もう~やってられるか~!」
- 「部署変わりてー!」
- 「どうすれば、上司から怒られずに仕事ができるのだろう?」
- 「売上が上げるために何をすればいいのだろう?」
質問があって、はじめて答えがでてくる。
ただし、質問の内容が一人一人違ってくる。
その人の意識の幅、経験値、意識の深さなどによって変わる。
だから当然、答えも違う。
不運と思えるようななことが起きた場合に、
- 「あ~なんて不幸なんだ!」
- 「この不幸をピンチに変えるにはどうすればいいんだろう?」
その質問の差が今の現状を作り出しているとしたら、質問力はすごいパワーになります。
つまり、昔から言われていたこと、上司が部下へ、親が子へ、先生が生徒へ、言っていた言葉…
「よく、考えろっ!」ということは、実は・・・
「今のあなたの状況に応じた、適切な質問を自分自身にしなさい!」
ということになるのです。
上司が部下へ、親が子へ、先生が生徒へ、教えるべきことは、最低限の知識と、それを活用するための最大限の質問方法なのです。
実は、仕事のできるといわれている人のほとんどは、自分に対して的確な質問がされているかどうかだけなのです。
態度や行動や能力や信念を変えるよりも、自分に対する質問の方法を変えていく方が、はるかに効果的です。
なぜなら、私たち人間に備わっている大脳というスーパーコンピューターが答えを用意してくれるからです。
自分自身への質問方法や、他人に対して行うことで問題解決や目標達成していくスキルのことをコーチングと呼んでいます。
今までの、指示命令型の上司よりも、コーチング型の上司の方を求められているのは、そういう理由もあるからです。
そして、これを活用しない手はありません。
仕事のいろんな困難な局面にぶち当たった時でも、「あ~どうしよう~」と脳に指示をだす場合と、「この問題を逆に利用するとしたら・・・」と脳に指示をだす場合、解決方法は全く違ってきます。
行動や能力の違いは、つまり、自分自身への脳への質問方法の結果なのです。
効果的な質問
幸せになるのでも、願望を達成していくのにも、問題を解決していくのにも、行動を直接変えていくよりも、自分に対する質問の方法を変えていく手段を選択した方が、はるかに効果があります。
なぜなら、質問をすると、脳は答えを自動的に探す検索機能があるからです。
これを活用しない手はありません。
また、あなたの今の態度や行動は、自問自答というあなた自身の脳への質問方法の結果なのです。
効果的な質問とは、相手の行動を変化させることのできる力を持っています。
質問一つで、考えを深めたり、気づきや発見を促したり、行動を引き出したりさせます。いわゆるコーチングと呼ばれるスキルです。
質問の種類には、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンがあります。
- オープンクエスチョンは、相手が自由に答えられる質問で、相手の意見や感情、考えを引き出すことができます。
- クローズドクエスチョンは、特定の答えを持つ質問で、確認や情報収集を目的としています。
コーチングやカウンセリングなどでは、オープンクエスチョンを活用して、相手が自己理解を深めたり、新たな視点を発見することができるようにサポートします。
① 二者択一で答えられる質問:クローズドクエスチョン
クローズドクエスチョンは、特定の答えを持つ質問で、確認や情報収集を目的としています。
相手を問い詰めるようにしてしまうため、あまり使ってはいけないとされています。主に、二者択一の質問のような範囲の狭い質問のことを指します。
- 例)このプロジェクトは、うまくいくと思いますか?
「はい」か「いいえ」しか答えがないから、それ以上広がらないのです。
「たぶん、できねえだろうなあ~、はあ~・・・」
つまり、問題解決の答えもでてきませんし、幸せになる方法もわからないのです。
② 何かを考えるときに有効な質問:オープンクエスチョン
オープンクエスチョンは、相手が自由に答えられる質問で、相手の意見や感情、考えを引き出すことができます。
自ら考えて答えを出そうとするため、新しい発見や気づき、さらには理解を深めるといったことができるのです。
- 例)このプロジェクトは、どうやればうまくいくと思いますか?
- 例)このプロジェクトは、どうやればうまくいくと思いますか?
- 例)このプロジェクトを、うまくいかせるには、何が必要だと思いますか?
- 例)このプロジェクトが、うまくいくとして、それは何が要因だと思いますか?
- 例)このプロジェクトで不安に思うことがあるとすれば、それはどんな点ですか?
この質問は、主に、WhatやHowを使った質問になっています。
What:「何が?」 問題を明確にしたり、相手に考えさせるときに使用します。
How:「どのように?」 アイデアを探ったり、可能性を拡げるときに使用します。
仕事のできる優秀な方の多くは、心の中でこのような具体的な質問をしているからこそ、答えがでてくるのです!
もしも、あなたに何か解決できそうもない問題があったとしたら・・・
私は、あなたへいくつかの質問をしていくでしょう。
例えば・・・
- 例) あなたは、どういう状態になれば満足するのですか?
- 例) そのためには、どうすればいいですか?
- 例) では、最初の一歩は何から始めますか?
これ以外でもたくさんあります。
- 例) この問題を、逆に利用するとしたら、いったい何ができるだろう?
- 例) この問題から、私は、何を学ぶ必要があるのだうう?
質問力は、本当に大事です。
ですから、今からでも、効果的な質問を自分に行うクセをつけてください!
つまり、考えるということは・・・
もう一度お伝えしますと…
親が子供に、また、上司が部下によく、「よく考えろよ!」っていったりしますが、考えるということを、もう少し掘り下げていくと・・・
考えるということは、的確な質問を自分にするということなのです。
チャンクアップとチャンクダウン
チャンクアップとチャンクダウンは、質問の視点を変えるテクニックです。
チャンクアップは、質問の視点を広げ、抽象度を上げることで、相手が大局的な視点で物事を捉えられるようにします。
一方、チャンクダウンは、質問の視点を具体的にし、細部にフォーカスすることで、相手が具体的なアクションや解決策を見つけやすくなります。
① チャンクアップ
まとまった論点を更に上から観察することを良い、なんらかの原因で狭くなってしまった視野を広げることをいいます。
もっとわかりやすく説明すると、東京をチャンクアップすると関東になり、関東をチャンクアップすると東日本と言ったように幅を広げていくイメージといえばわかりやすいでしょうか。
チャンクアップは課題の背景をより具体的にします。
チャンクアップは質問を通してその課題や背景はもちろん、目指したい未来を探求していくものです。
「どうしてそう思うのか?」を動機付けに繋がる質問をしていきます。
- その課題は何のためにあるのか?
- そもそもどうしてそう思ったのか?
- 最終的にはどんな状態が望ましいと思うのか?
今その問題に対してどんな印象を持っているのかを質問を通して明確にしていきます。
課題が見えなくなっているときにこそ、チャンクアップはとても重要な部分であるのが分かると思います。
② チャンクダウン
現在起きている問題に対してより具体的に落とし込んでいくことです。
細部をより明確にすることで問題を解決することに繋がります。
こちらの場合、チャンクアップとは逆になり東日本をチャンクダウンすると関東、関東をチャンクダウンすると東京になります。
チャンクダウンは目的を明確にするものです。
チャンクダウンは、行動の明確性を追求したものです。
例えば売上を上げたいと思っていても何をしたらいいのかわかっていない人もいると思います。
売上を上げたいだけだとチャンクの幅が多すぎるので何をしたらいいのかわかりにくくなってしまいます。
そもそも単純に売上を上げたいのか?
それともリピート率を高めて購入頻度を増やしたいのか?
それとも客単価を増やしたいと思っているのかによっても変わります。
チャンクダウンを行ううえでとても便利で使いやすい方法があります。
- 具体性のある行動のためにはどうしたらいいのか?
- 行動とは具体的にどういうことを指しているのか?
- 他に考えられる意味にはどんなものがあるのか?
- より詳しく説明するとどういった意味になるのか?
チャンクをより細かく分割していくことによって、解決するべき問題がより明確になるといえばわかりやすいと思います。
目標を明確にしたいときはチャンクダウンの方法を取り入れることで、今後どんな行動を示すべきなのかを計画的に行うことができます。
質問をする側がその場を支配できる
あなたはいつも質問をする側ですか?それとも自己主張する側でしょうか。
もしその場を支配したいのであれば、質問する側に回ることが大切です。
実は、その場を支配しているのは自己主張している人ではなく、質問する側が場を支配しているのです。
質問力が高い人は、適切な質問を通じて相手の考えを引き出し、相手が自己理解を深め、自己変革に向けた行動を起こすことができますし、質問一つで話の方向性すら変える力を持っていて、そのことを活用しているのです。
テレビのバラエティー番組では、MCとゲストがよく掛け合いをしています。
ゲストはMCから振られた質問に対して面白おかしく答えるのが仕事ですが、どのように振るのか、誰に振るのか、どのようにパスを回していくのか、ゲストの回答にどうつっこみを入れるのか、瞬時に判断して番組を進めていくのはMCです。
番組のテーマから外すのも、沿った形で進めるのも質問一つで進めていくMCの腕次第で、質問することで深掘りをすることもできますし、他の話題に変えることだってできます。
ただし、全体像などを把握しながら進めていかないと、収集がつかなくなってしまいます。
つまり、番組の進行は、MCの質問力やつっこみ力がとても影響を及ぼすのです。
まとめ
質問力はコーチングにおいて極めて重要な要素であると言えます。
オープンクエスチョンやクローズドクエスチョンの使い分け、チャンクアップやチャンクダウンのテクニック、そして場を支配する能力を持つことで、コーチは相手の自己理解を深め、目標達成へのサポートを最大限に引き出すことができます。
質問力を磨くことで、コーチは相手のニーズに応じた質問を適切に提供し、相手が自らの内面を探求し、自己変革に向けた具体的な行動を見つける手助けをすることができるのです。
そのため、コーチングやカウンセリングを行う上では、質問力を向上させることは非常に重要な役割を果たします。