会社組織と子育ての本質

さて、組織を動かしていくには、社員との信頼関係を築くということが大前提です。

それは、安心・安全な環境という意味の「母性」といってもいいでしょう。
その上で、最低限のルール作りと、そのルールを徹底的に会社に浸透させる仕組みを作る必要があるのです。
これが「父性」となります。

この順番を間違えてはいけません。

実は、驚くかも知れませんが、組織運用の方法と、子育ての方法とは本質的には同じものだからです。

赤ちゃんが生まれるとき、誰が最初に赤ちゃんを抱くのでしょうか? 
そして、だれが子供に社会のルールを教えるのでしょうか?

これが組織力を引き出すための順番でもあるのです。

私が教育関連の会社を経営しているときでした。

儲かる仕組みのノウハウを活用することで、売上は順調に上がっていったのですが、その反面、なぜか組織に亀裂が入るようになってきました。
亀裂というのは、社員への不平不満からくる、何か漠然とした不安のようなものです。

といっても、その頃の私は、やることなすことうまくいっていましたので、世界一自分が正しいという傲慢さがすでにあり、さらには、何か問題があるとすぐに怒ったり罵倒したりする、鬼の経営スタイルを確立していました

さらに事態を悪化させたのは、私が、心や精神世界についてある程度勉強していたからです。なにせ、どの方面からでも人を攻撃することができる理論も持っていたのです。

私は、すべての社員を自分の思いどうりに動かすためにコントロールをしていましたので、少しでも自分が気にいらないと、すぐに怒鳴ったり、罵倒していたため、社員の入れ替わりが次第に多くなってきたのです。

挙句の果てには、私以外のすべての社員が入れ替わってしまうという自体に陥り、最後の手段として、自分の子供を無理やり保育園に預けて、自分の妻を会計担当にしてしまう始末です。

そういう状態の中、妻が再三にわたり私に助言をしてくれました。

「相手に話している自分の吐く言葉は、実は自分のことよ!!」
「だから、人に対してバカっていうことは、実はあなたのことでしょう!!」

実は、心の勉強をしていた私でも、最初は、自分には当てはまらない、と信じて人の言うことを全く聞いていなかったのです。

そんなとき、ある組織改革法を目にしました。

例えば・・・
朝礼の中でプラス思考を浸透させるために、1分程度、スタッフ一人一人が、24時間以内にあったグッド&ニュー(良かったできごとや新しい発見など)を発表していくグッド&ニューと呼ばれるものであったり・・・

会社の価値観を社員に浸透させるための画期的な方法も知りました。

それは、世界的有名な5つ星ホテルのリッツカールトンホテルが、世界中の社員が、全世界で全く同じサービスを心がけるために、全社員が常に持ち歩いているというクレドカードと呼ばれるものの存在で、それを必ずミーティングの際に活用しているというものです。
(クレドとは、誓いとか信条とかいう意味で20項目にまとめられています)

もちろん即行動に移しましたが、 本当に目からウロコでした。
それに、即効性が高いということも長所に挙げられます。

その時、強く思ったことは、組織に必要な規則やルールよりも、さらに重要なものがあるということでした。(少し遅かったですね^^)

組織を変化させるために、さまざまな書籍やマニュアル、セミナーに参加してきましたし、それなりには効果があるのですが・・・

どのノウハウを試してみても、途中で何かしらうまく機能しなくなるのです。
そして、途中で挫折したり、実行しなくなったり、効果が現れなくなったり・・・このようなことが、私だけでなく周りからも少しずつ耳に入ってくるようになってきました。

そんなある日、その謎が解けました。
それが・・・

1:1.6:(1.6の二乗)の法則 です。

これは・・・

社員が普通に仕事をしている場合を、「1」としますと、
経営者と社員の間に、信頼関係が築かれている場合には、
約1.6倍の力を発揮して働くことになるという法則です。

ところが、信頼関係が築かれている状態で、
自発性をもって仕事ができる環境が加わりますと、1.6の二乗作用が発生し、
通常よりも3倍近くまで力を発揮していくのです。

では・・・
この、法則を、会社で実践するには、どのようにすれば良いのでしょうか。

それには・・・

  1. 経営者が、社員と信頼関係を築く。
  2. そして、あなたの許容範囲の中で、社員が自分の意思で仕事をしていると思わせるような仕組みを作っていく。

こうなると、あなたの会社はきっと激変していることでしょう。