劣等感があっても大丈夫。人間が持つ10の知能、のび太から学ぶもの

Teach to Learn.

以前、うちの子供がまだ中学生の頃、勉強が思うようにできず、試験の結果もあまりおもわしくなく、いろいろ泣き言をいっていたことがあった。周りの友達はみんな頭がいいのに、なんで自分だけは、なんてこんな感じだった。

周りの友達は勉強していないっていっている割にテストの点は良いものだからしょげていた。
勉強していないっていう割に、テストの点がいい人、試験後の答え合わせのときに熱弁をふるう人っていた(笑)時代は移っても、やってる行動はたいして変わらない。

ちなみに、私は、親から一切勉強しろと言われなかった派である。勉強というのはたぶん、教科書を見たり、ノートに書きうつしたり、問題集をやったりして、教科書の中身を理解して覚えて、テストで良い点数をとることだと思っていた。

現実、私はあまり勉強はできなかったし、興味がないものは頭には入らない性質のようだった。たぶん子供も遺伝しているのだと思う。だからよくわかる。

ある先生はこうおっしゃっている。
「勉強とは、できないことができるようになること」

この言葉にはとても共鳴した。
なぜなら、学校の勉強以外に、できるようになりたいことが山のようにあるからだ。そして、それも勉強ということになるのだ。まるで目から鱗だ。

じゃあ、学校は何なのだっていう話しだ。
点数で人をランク付けしやがって・・・これは私のひがみ。

ちなみに、僕や息子のように、言語的知能や数学的/論理的知能が低い(笑)場合の有効な学び方のひとつは、人に教えること、人前で話させることがいい。
人に教えるということは、頭できちんと整理しておかなくてはできないからだ。

例えば、子供であれば今日受けた授業の内容を、私や妻に教えるようにするのだ。
これを3か月間続けた。

結果、パラパパッパパ~(ドラクエ風)
言葉を話せる能力が2上がった
理解力が2上がった
会話力が2上がった
自信が1ついた・・・LPが10上がった

こんな感じで?、改善の効果が顕著に見られた。
Teach to Learn.
人前で話させることは社員にも効果的なので、ぜひお試しください。

人間が持っている10の知能

前述した内容をどう自分の中で消化すればいいのか疑問だったとき、ハーバード大学ハワード・ガードナー博士の多重知能のことを知った。博士によると、人間には、少なくとも10の知能があるという考え方だ。

IQ(知能指数)は、一つの指標で測ろうとしても、それだけで人間の知能として測れたことにならないというのである。それは、多重知能(Multiple Intelligences=MI理論)と呼ばれる。

このような理論は、私のような才なき凡人にとって非常にうれしいかぎりだ。

ガードナー博士の IQ に対する考え方

  • IQ は画一主義。言語的スキルや数学的スキルに重きを置いている。たった一回のテストによって重要な決定がなされてしまうことは問題であるし、このようなテストを想定した教育は就学前のこどもには不適切であることが多くの研究で示されている。
  • IQ テストは、学校での成功をかなり正解に予想することができるが、学校を終えた後の職業における成否はほとんど無関係なものにすぎない。
  • IQ とは異なる「知能とは何か?」の考え方をする必要がある。

ガードナー博士はこうも語っている。

「音楽的知能は音楽家だけに必要だ」というように知能と職業が一対一に対応しているわけではなく、それぞれの知能は単独ではなく、複合して働くのだということ。

例えば、音楽家は、演奏だけでなく他人の動機を理解する対人的知能や表現力も必要だし、建築家には、空間的知能、論理数学的知能も必要なのだ。

知能検査や学校の学力テストで測れるのは、せいぜい言語的知能や論理数学的知能くらいに限定される。

このことで腑に落ちた。
頭がさほど良くないといわれてきた私のような人間でも、まだまだ8つの知能がある。
なんて素晴らしいことなのだろう。可能性が広がった。

人間が持っている10の知能
  1. 言語的知能
    話し言葉と書き言葉への感受性、言語を学ぶ能力、およびある目標を成就するために言語を用いる能力。
    最終状態)弁護士、演説家、作家、詩人
  2. 論理数学的知能
    問題を論理的に分析したり、数学的な捜査を実行したり、問題を科学的に究明する能力。
    最終状態)数学者、論理学者、科学者
  3. 音楽的知能
    音楽パターンの演奏や作曲、鑑賞のスキルを伴う。
    (ガードナーは、音楽的知能は、構造的には言語的知能とほとんど対応しているので、一方(ふつう言語的)を「知能」と呼んで、他方(ふつう音楽的)を「才能」と呼ぶことは、科学的にも論理的にも意味がない、と考えている。)
  4. 身体運動的知能
    問題を解決したり、何かを作り出すために、からだ全体や身体部位(手や口など)を使う能力を伴う。
    最終状態)ダンサー、俳優、スポーツ選手
    この種の知能は、工芸家や外科医、機材を伴う、科学者、機械工、およびそのほか多くの技術力方面の専門職にも重要。
  5. 空間的知能
    広い空間のパターンを認識して操作する能力(例えば、航海士やパイロットが用いる能力)や、また、もっと限定された範囲のパターンについての能力(彫刻家や外科医、チェス・プレーヤー、グラフィック・アーティスト、建築などに重要な能力)。
    文化が異なれば空間的知能の使われ方も多岐にわたる。
  6. 対人的知能
    他人のいとや動機付け、欲求を理解して、その結果、他人とうまくやっていく能力。
    最終状態)外交販売員、教師、臨床医、宗教的指導者、政治的指導者、俳優
  7. 内省的知能
    自分自身を理解する能力。自分自身の欲望や恐怖、能力も含めて、自己の効果的な作業モデルをもち、そのような情報を自分の生活を統制するために効果的に用いる能力。
  8. 博物的知能
    事例をある集団(より正しくは種)のメンバーだと認識し、ある種のメンバー間を区別し、他の近接の種の存在を認識し、そして、正式、非正式に、いくつかの種間の関係を図示するという能力
    最終状態)博物学者
  9. 霊的知能
    宇宙の問題について考えることにたずさわる能力
    最終状態)偉大な宗教指導者
  10. 実存的知能
    宇宙の深奥―無限大と無限小―に自らを位置付ける能力であり、それに関連して、人生の意義、死の意味、物理的・心理的な世界の究極の運命、人を愛したり芸術作品に没頭するなどの深遠な経験といった、人間的な条件の実存的特徴との関係に自らを位置付ける能力。

のび太から学ぶ最も大切な知能とは?!

もう一つ、漠然とした疑問があった。
先述の音楽家でも、建築家でも、職場でも家庭でも、親から身につけるものの一つに、母性というものがある。
相手への思いやり、優しさ、といったものだ。

知能とは、能力と技能の組み合わせだといわれる。
母性も、立派な知能といえるものではないだろうか。

ドラえもんの主人公である「のび太」を例に説明したいと思う。

のび太は、テレビドラマでは、キャラクター上、ぐーたらな設定だ。
勉強ができず、宿題をせず、テストの点が悪く、よく先生から怒られる。さらに、ジャイアンからいじめの対象となっていて、よく泣かされる。

ところが、毎年恒例の映画の世界では、世界や宇宙をドラえもんや仲間たちとともに救うヒーローになっている。弱いものに優しく、手を差し伸べる正義と愛を兼ね添えた子供なのだ。
テレビのぐうたらのび太も、映画のヒーローのび太も、どちらも紛れもない「のび太」である。

そして、ヒロインのしずかちゃんは、ついに彼を選んで結婚することになるのだが…
画「のび太の結婚前夜」では、しずかちゃんへのしずかパパのセリフがのび太の人となりを説明している。

「あたし……不安なの。うまくやっていけるかしら」
と悩むしずかちゃんに対してパパは…

「やれるとも。のび太くんを信じなさい。
のび太くんを選んだ君の判断は正しかったと思うよ。
あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。
それがいちばん人間にとって大事なことなんだからね。
彼なら、まちがいなく君をしあわせにしてくれると、ぼくは信じているよ」

人間にとって大事なことは、能力のもっと根底にある。
思いやりや優しさ、愛や慈悲などと呼ばれている母性である。
母性の上にこそ、秩序や能力があるべきはずなのに、現代社会の組織では、それが芽生えていないように想う。

本来のリーダーとは、映画などで、村や集落に登場してくる長老という存在に近いのではないだろうか。住人から尊敬され、洞察力があり、考え方も深い。「損得」だけでなく、「尊徳」を持って判断する。あくまでもテレビの中の役柄だが、そこにヒントがある。

現代では、10の知能の中で、言語的知能、数学的/論理的知能が高い人が優秀と言われる社会になってるし、そういう人たちが国や大企業の運営を決める立ち位置にいることができる仕組み、社会環境になっている。

  • だからと言って、霊的知能や精神性が高いとは限りらない
  • 宇宙の深奥に自らを位置付ける能力が高いとは限らない
  • 母性が発達しているとは限らない

それが問題なのだ。

10の知能+1

もしも、あなたが劣等感をもっているとして大丈夫だ。

人間には10の知能があるからだし、決して数値には表せない人間性、精神性なども加わって「あなた」を形成しているからである。磨くところはたくさんあるのだ。

のび太は、先進国に住む人間が決めた優劣で判断すれば、劣等生になるのかもしれない。
だが、宇宙の仕組みに優劣を判断する基準がもしあるのだとすれば、紛れもなく優秀な人間になるはずだ。

そして、知能や能力よりももっと大切なことを、のび太はテレビや映画の中で今も教えてくれている。

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