「私はこんなに頑張っているのに!」
このようなことを、社員の心の中で叫ばせてはいませんか?
- もしも、あなたが働く会社で、正しい評価をする仕組みがないとしたら…
- 正しい評価をする基準がないとしたら…
- それが、人によってばらばらだったり…
- どういう働き方をすれば給与がどう上がるのかよくわからない…
頑張ったことで高い評価をしてほしいというのは当たり前のことです。
ただ、たやすく口にできないだけです。
それは、日本人には謙虚な方が多いからです。
優秀な社員に育てたいという会社側の都合と、風通しの良い環境で気持ちよく働きたいという社員側の都合が、うまく調和がとれていないこと、そしてそのような仕組みがないことが問題なのです。
まずどんな社員、スタッフが優秀なスタッフであるのか、の根拠のある定義が必要です。
どういう業務をどのような考え方をもって、どのように行い、どういう具体的な成果を出しているのか…、それを全社員・スタッフに伝えていくことがスタートになります。
今回は、その方法についてお伝えさせていただきます。
「優秀な社員」という定義
2:6:2の法則
人の脳は、目標となる基準や目的を明確にすることで、意識して達成しようとする人もいれば、全員とはいかないまでも、ある一定の人たちも無意識にその目標に向かおうとしてしまいます。
2:6:2の法則をご存じでしょうか。
これは、組織を運営していくと発生してしまう
優秀な人:普通の人:ちょっとダメな人 = 2:6:2 の割合になります。
優秀と呼ばれる人は全体の2割存在し、6割は可もなく不可もないマニュアルどおりに動く人たちで、残りの2割は、仕事ができないタイプの人たちだそうです。
本当に仕事ができないような方もいるでしょうし、例えば、入れ替わりが激しい会社で、常に新人のスタッフの割合多い職場の場合、新人さんが独り立ちできないでいると、利益にはならないですね。
この比率の中身は、会社に応じていろんなケースがあると思います。
また、仕事ができない人を安易にやめさせたらどうなるのか…
その場合は、なんと普通の6割の人の中から仕事ができない人がでてくるのです。
反対に、優秀な人が転職などで会社からいなくなったとしても、この6割の中から優秀な人が自然と発生してきます。
割合は常に変わらないということのようです。
誰でも経験があると思いますが、会社を引っ張っているあの優秀な社員が会社を辞めたら、一体どうなるのかと思っていたとしても、実際は、大して大変なことにはなっていないはずです。
ということは、全体的な底上げのようなことを行うことが必要でしょう。
一つの手段としては、事前に、その部署の社員・スタッフの期待像を示す基準のようなもの、ここでこういう考え方で、こういう業務を行っていけば、いずれ100点の社員になっていくよ、というものを提示することが望ましいといえます。
基準が不明確だと、人によって解釈が異なるため、人によって評価基準が違ってきてしまいます。
逆に、事前に基準を示すだけで、向かうべきゴールが明確化されるのですから、無意識にその方向に向かう人が増えてきます。
「優秀な社員」という定義の必要性
どういう業務をどのような考え方をもって、どのように行い、どういう具体的な成果を出しているのかが明確に定義されているかどうか?
NLP心理学を例にすると、NLPの創始者は、大学の心理学の授業のように理論的に積み上げていったものではなくて、例えば、言葉だけで患者を治す人がいると聞けば、その人に24時間張り付いて、なぜこの人がそうなのかを観察し分析していきました。
つまり、誰でもそれができるようになるために、考え方や手順を体系化していったのです。
これがNLPの根底にあります。
同じように、社内にいるいろんな方向の優秀と呼ばれる社員を探し出し、観察し、分析することから始めるわけです。
多くの小さな会社の経営者は、お客様を集めることと、利益をあげるための商品開発などにエネルギーを使っています。そのためにこういうことがよくわからないでいるのです。
- 社員をどのように教育や指導していけばいいのか?
- 社員をどのように評価すればいいのか?
- 社員の賃金や昇進昇格をどのようにすればいいのか
つまり、社員をどのように成長させればいいのか、がよくわからないのです。
社長の感覚だけが頼りで、それがすべてになっているのです。
評価されない本当の理由
私はいったいどのように評価されているのだろうか?
新規採用でも中途採用でも最初は素直に一生懸命働きます。
ところが少しずつ疑問がわいてくるようになります。
「私はいったいどのように評価されているのだろうか」
私は一生懸命働いでいる、誰よりも貢献している
それなりに貢献しているのに・・・
と思っている社員ほど、評価が気になるはずです。
- ところで、私の評価は今どうなのですか?
- なぜ、あの人が重要なポストに重用されて、私は重用されないのですか?
- どうなれば、給料は上がるのですか?
この問いに正確に答えられる経営者はほとんどいません。
正確に答えられないとどうなるか、会社に対する不満や愚痴が増えることになり、不調和な雰囲気に向かっていくことになります。
結果、組織全体への不満につながっていきます。
人間関係の問題とは?
どの職場にも抱える問題でもありますし、各個人が持つ固有の課題が幾重にも折り重なった永遠の課題です。
先述のとおり、組織の大半は、マニュアルどおりに動く、可もなく不可もない、6割の方たちで構成されています。
そして、そういう方にとって重要になるのが、その職場の人間関係が心地よいものであるかどうかなのです。それは上司と部下、先輩と後輩などの関係が多いでしょう。
嫌な上司=性格が悪い上司、同僚とうまくいかない、という理由で、特にパートやアルバイトなどが会社を辞める理由でもあります。
ここで一つ問題があります。
それは、性格の良い、ということは幅が広い言葉ですが、例えば、他者と心地よい交流ができる、ということにしておきましょう。
多くの会社の場合、「性格の良し悪し」という項目は評価には入っておらず、給与とは関係のない項目になってしまっています。
実は、それが問題なのです。
正しい評価をする仕組み
会社にとって評価の高い社員が会社の業績を上げます。ただし…
- 正しい評価をする仕組みがない、
- 評価をする基準がない、人によってばらばら、
- どういう働き方をすれば給与がどう上がるのかよくわからない
- 心地よいの良い交流をしてくれる社員やスタッフが少ない
このような会社では、自分の大切な時間や一生をかけることはできません
小さな社員の不満というほころびが溜まり、雰囲気もよくない方向に向かうため、それに嫌気がさしたり、気が付いた社員からやめていくこともあるでしょう。
もし、ここに昇給や昇格する基準のようなものがあって、誰でもそのことを知ることができ、そのチャンスがあることを事前に公表されたとしたら、どうでしょうか?
社員は納得することができますし、「少しがんばってみよう!」となるでしょう。
何より、ゴールを事前にインプットすることで、脳はそれを無意識に実行しようとするようになります。
それをそれを知って社員が業務を行うことと、知らずに行うことは日々の積み重ねで後々大きな差になってきます。
その昇給や昇格の重要な判断基準が、正しい評価になります。
- 評価の高い社員は昇給する。そうでない場合は昇給はしない。
- なぜそうなるのかの理由も明確にする
- そのことが簡潔にまとめられた評価シートがある。
- 事前にオープンにする。
つまり、評価シートは、
- 社員の自己育成の方向性を示したシート
- 会社が社員に示す成長の方向性を示す期待像
- 上司が部下を指導するときの指導書
にならなければいけません。
重要なのは、単に社員に対して良い悪いなどのレッテルをはるのではないということです。
会社に評価シートがあってもなくても、評価する基準には、成果というものがあります。営業でいえば売上金額であったり、新規顧客件数などになります。その成果をだすために必要な、やるべき重要な業務があります。
優秀な社員は、その成果をだすための考え方と、やるべきことを優秀なやり方で行っています。個々の社員の業績の違いは、やるべきことの優れたやり方にあります。
その違いを明確に言葉にすることが大切です。
部下の指導、人財育成に必要なもの
「私はこんなに頑張っているのに!」
頑張ったことで高い評価をしてほしいという社員を増やすのも、重要な業務を優秀なやり方で行い、成果を上げる社員を増やすのも、精度が高い、可視化された評価シートがなければならないのです。
そうでなければ、部下指導も上司次第になってしまいます。
ゴールとなる目標、基準のようなものを事前に社員に渡して確認してもらう。
このような仕組みや評価基準があることで、脳もまた、自然に・無意識に、その方向に導こうとしてくれます。
みなさんにもご経験があるとおもいますが、
社員が素直に上司のいうことを聞きいれないときがあります。
それは、自己評価はとても高いのに、会社の評価は低い、こういうときに起こっているのです。
自分は自分のことをこう思って、こう判断しているという自己認知と、他人から見た自分の差が会社の運営方針として違うことを、はっきりと、そして正確に伝え、且つ、改善方法を受け取ってもらわなければいけません。
これが人財育成に必要なことであって、会社側の価値観を押し付けることではありません。
そのすべてを満たすことのできる評価シートが必ず必要になります。
参考及び引用:「人生を賭けられる会社の見分け方」 発行:多摩経営研究所 著:松本順一
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