人は 五感によって世界を認識しています。
その五感とは、「視覚」「聴覚」「触覚」「嗅覚」「味覚」のことを言います。
人は外部のものを理解するときや、内的なものを思考するときにも、これら五つの感覚を使っています。
NLPでは、これらを代表システムと呼んでいます。
1、VAKとは
視覚 Visual
聴覚 Auditory
体感覚 Kinesthetic
※一般的に嗅覚と味覚は体感覚に含み、VAKと集約して使われます。
人にはそれぞれ使い慣れたシステムがあり、これはクセのようなもので、視覚優位な人、聴覚優位な人、体感覚優位な人、に分かれます。
人にはそれぞれ得意分野もあれば不得意分野もあります。全く同じ情報を得ているとしても、情報を処理する上で、人によって優位に働く部分が異なるのです
注意点として、あくまでも優位なだけであって、例えば「視覚タイプ」のようにタイプ分けを行うものではありません。
自分自身と相手がどのようなシステムを使い慣れているかを知ることによって、コミュニケーションに工夫が生まれ、信頼関係(ラポール)をより効果的につくることができるようになります。
代表システム(VAK)を理解し、使い方を変えるつかい方を変えることによって日常生活に大きな変化をもたらすことが可能になります
2、各優位タイプの「体に現れる特徴」(アクセシング・キュー)
脳が、視覚、聴覚、体感覚にアクセスする際に、体に現れる特徴のことアクセシング・キューといいます。
アクセシング・キューとは、体に現れる特徴によってその人がどのような方法で脳内の情報に繋がっているかを知る手がかりになります。
アクセシング・キューを読み取り、相手が情報に繋がる方法を知ることは、ミス・コミュニケーションを減らせることや、よりよいコミュニケーションをする上でも、ペーシングの観点でもとても役に立ちます。
各優位タイプの体に現れる特徴(アクセシング・キュー)の観察ポイントの例をご紹介します。
観察ポイントは、「目の動き」「呼吸のパターン」「声の高低や速さ」「姿勢」です。
1. 視覚優位な人の特徴
目線が上を向いている↑
視覚的に考えているとき
-
- よく見る
- 目が上を向いている
- 胸の上の方や肩で朝目の呼吸をする
- 早口で話をする
- 高い声で話す傾向
- 姿勢はやや後ろに反り返った感じ
視覚優位な人の特徴
- 状態や頭を直立させて、座ったり、立ったりする。
- 視線は上方に向けがち。胸の上半分で 呼吸する。
- 椅子には上体を前に乗り出して座る。
- 身なりはきちんとして。整理・整頓を心がけている。
- モノを記憶する時には、絵にして覚え、表現は視覚的な表現をする。
- 周りの音に気持ちを乱される度合いは低い。
- 気持ちがあちらこちらに飛びやすいので、言葉で出される指示を覚えるのが難しい。
- 見かけを大事にする。外見に心を動かされやすい。痩せた筋肉質の体型が多い。
- 頭に描いているイメージを手を使って表現しようとする。
視覚タイプがよく使いがちな言葉:
「見える・描く・焦点が合う・明るい・見守る・狙いをつける・観察する・見えない・ぼんやり・見通し」など。
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2. 聴覚優位な人の特徴
←目線が左右に動く→
聴覚的に考えているとき
- 目は横に動く
- 胸全体で 平らに呼吸する
- 声のトーンは整っている
- 体にリズムのある動きが見られる傾向
- 姿勢はまっすぐ
聴覚優位な人の特徴
- 目を左右によく動かす。
- 胸の中ほどで呼吸をする。
- 言葉を大切にし、理論的である。
- 自問自答したり、独り言をよく言ったりする。
- 騒音があると集中できない。
- 言葉で伝えられたことをそのまま繰り返すことを容易にできる。
- 聴いて学習することが得意。音楽を聴いたり、電話で話したりするのが好き。
- 自分のことを話してもらうことが好き。声の調子や言葉に反応しやすい。
- 自分のうんちくを人に話すのが好きで、自分から積極的に話しかけやすい。
聴覚タイプがよく使いがちな言葉:
「聞こえる・騒々しい・心の叫び・美しい旋律・説明する・相談する・調和する・話す・静か・共鳴する」などや擬音語、感嘆を表現するような言葉など。
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3. 体感覚優位な人の特徴
目線が下を向いている↓
体感覚的に考えているとき
- 目は下を向いている
- お腹のあたりでゆっくり深く呼吸する
- 遅い口調で話をする
- 低い声で話す傾向
- 姿勢はややうつむいた感じ
体感覚優位な人の特徴
- 目を下の方へ動かす。
- 胸の底の方で呼吸をする。
- お腹での呼吸が観察しやすい。
- 動いたり、話したりする速さはゆっくりしている。
- 具体的な感触や触れ合いに反応しやすい。
- 視覚優位の人よりも人の近くに立とうとする。
- 何かをしたり、体を動かすことでものを覚えやすい。
- 感触や感じに興味を持つ。声のトーンが低い傾向があり、落ち着いた話し方をする。
- 感じながら話すのがテンポが遅い。早口でたくさん話されると情報の処理がついていかなくなることがある。
- のんびりしていたりおっとりとした性格に見られる。
- 何よりも居心地の良さを重視する。
- 手を使って感情を表現したり気持ちを伝えることもある。
体感覚タイプがよく使いがちな言葉:
「感じる・把握する・しっくりくる・身を切るような・手探りする・スムーズな・プレッシャー・心が熱くなる・心が折れる」など身体にまつわるような言葉など。
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3、話が伝わらない、話しがわからない…それは表現方法が違うからです
表現方法の違い
このタイプの違いによってそれぞれ表現方法が変わりますから、そのことを理解していないと、「この人の言っていることが入ってこない」とか「この人に話が伝わっているのかな?」と疑問に思ってしまいます。
例えば、相手と会話をしていて “話がわからない” 状態を表現する場合ですが…
- 視覚優位の人の場合:「話が見えない、イメージできない」
- 聴覚優位の人の場合:「なにを言っているのかよくわからない」
- 体感覚優位の人の場合:「話が入ってこない、意図がつかめない」
など、同じ内容の話であっても脳のタイプによって表現が違ってきます。
また、仕事のやる気に溢れていて結果重視の人に対して褒める場合…
- 視覚優位の人の場合:
「君の視点は、ビジョンが明確で、将来の見通しがわかりやすい。わが社の未来は明るいな!」 - 聴覚優位の人の場合:
「君の話は、理路整然として段取りもきちんとしている。何かあったらいつでも相談してくれ!」 - 体感覚優位の人の場合:
「君は仕事の内容をよく把握しているし、何よりなんて言うか、こう…熱意が伝わってきて、胸にささるよ。最高だね!」
などなど、表現の仕方にはこれだけの違いがあります。
VAKを理解すると人間関係のストレスが緩和される
それぞれに明確な特徴があるので、まずは知り合った相手がどのタイプに該当するのかを見極める必要があります。あなたが思っているイメージが合っていることもあれば、話をしていくうえでイメージが変わることだってあります。
よく観察してどの優位タイプに分類されるのかを明確にしましょう。
このVAKを使うと相手の優位感覚がわかるので、どう伝えたら話の内容を伝えやすくなるのか?またうまく伝わっていないときの対処法もわかります。
VAKを理解しないまま話をしていると、どんなに伝えようと努力をしていても評価されない悪循環になってしまいます。
例えばビジネスの場面でも、あなたは事細かく説明しているのに、相手にとっては何を言っているのか理解できないと正当な評価を得られなくなります。
あなたが関係を築きたい距離を縮めたい相手がどの感覚のタイプになるのかを理解して話すだけでも、コミュニケーション・スキルを高めることに繋がるのです。
4、まとめ
VAKの優位タイプがわかると話をするうえで、効率的に相手に物事を伝えることにも繋がります。同じように話をしているつもりなのに、なかなか話が通じない(伝わらない)人もいれば、すぐに理解できることもありますよね。
視覚優位タイプ・聴覚優位タイプ・体感覚優位タイプのどれに該当するのかまずは観察したうえで考えてみてくださいね。
記事「視覚だけで相手の考えがわかるアイ・アクセシング・キュー」もおススメです↓