傾聴-いろいろな聴き方

カウンセリングの技法のなかでも簡単に見えて最も難易度が高いと言われているのが「傾聴」です。この技法によってカウンセリングの結果が異なるだけでなく、傾聴が正しくできてこそカウンセリングとしても一流だと考えられています。傾聴の方法にも種類があり、大きく分けて9種類に分類されます。

傾聴の基本的な技術は以下のものがあります。
さらに、話を聞いているときに“うなずき”“あいづち”を適度な頻度で入れることによって、話を聞いているよと表すことができます。

1、共感

クライアントの話に共感することではありません。「この人あら話を理解してくれる」と実感してもらうことが大切です。例えば震災の被害にあったクライアントだとします。

「地震を経験したトラウマから抜け出せなくて…」
「あなたの気持ちわかりますよ」

この共感では、同じ体験をしていないのに何がわかるの?と思われてしまいます。
共感しているつもりになってしまっているだけで、安易に使ってはいけません。

「今、辛いんですね」
「トラウマになってしまっているのですね」

相手の気持ちに寄り添い、確かめるような聴き方をします。

2、促し

カウンセリングでは自分の思いや悩みをうまく表現できない人もいます。話がなかなか前に進まないときに、ついつい結果や結論を求めてしまいがちです。うなずきやあいづちを入れながら相手が話しやすい環境を作ることが重要です。急かすのでは相手が話せなくなってしまったときは待つなど、相手のペースに合わせること。

3、繰り返し

相手の好きなものを聞いたときに「◯◯さんは(好きなもの)が好きなのですね」と発言を繰り返します。すると相手の話をしっかりと聞いているよとアピールすることになり、相手 の会話を引き出すことに繋がります。会話に詰まってしまったときも使えます。

4、言い換え

相手が話していたことに対して別の言葉に言い換えて話題を膨らませる方法です。

例えば
「私の好きなものは実家で飼っている柴犬です」
「そうなんですね。◯◯さんは犬全般が好きなのですか?」

好きなものを広げるだけでも会話の幅が広がり、
相手が好きなものがより明確になります。

5、要約

相手が話をしていて、話したいことがたくさんあったり自分でも伝えたいことがまとまっていないと「何を伝えたかったのか?」がわからなくなってしまいます。そんなときは、あなたがかわりに要約して話をまとめてあげるとわかりやすくなります。

「◯◯さんとは今日は職場関係について話し合いました。次のカウンセリングまでに、課題を一つ一つ解決していきましょう。」

など、話がながくなってしまいがちなクライアントの言葉をまとめます。長いカウンセリングのなかから大切な要点をまとめるので、高い技術を必要とします。

6、明確化

相手が抱えている問題を明らかにする必要があります。相手の経験や物の捉え方、考え方などを傾聴していきます。問題が生じたプロセスや背景にはどれぞれ異なった原因があるものです。詳細がわからないまま解決法を探そうとするのは、結果として問題を長引かせる原因にもなります。

「職場の先輩との人間関係がうまくいきません」
「そうなんだね、良かったら詳しく話してもらえるかな?」
「先輩が高圧的な態度で接してくることも多くて…」
「うん、それで?」
「教えてもらいたいことや聴きたいことがあっても相談しづらくて…」
「今まで何度もそういうことがあったの?」

といったように相手の考えを否定するわけでもなく、
話を明確にしていき、どこに問題があるのかを探し出します。
問題点の話をするとき、相手にとっては嫌な気持ちを再度思い出さなくてはいけなくなることもあり、つらい体験になることもあります。相手の気持ちに配慮することを忘れずに。

7、沈黙

クライアントと話をしていて、沈黙状態になってしまいあなたから会話を切り出してしまったことはありませんか。けれどもあと少し待っていれば相手が答えを話してくれたかもしれません。次々に会話を重ねてしまうと本質が見えなくなってしまうのです。

これは人間の沈黙が怖い、苦手だと思う気持ちの現われです。沈黙になってしまったときはノートを広げたりしながら、笑顔で話し始めてくれるのを待つこと。「あなたの話を待っています」と気持ちを伝えることが大切です。

8、質問

相手に質問を上手にできるようになると話を膨らますことができます。あなたが気になることに焦点を当てるのではなく、クライアントが話したがっていることに対して質問をする姿勢が重要です。あくまでも話しやすい環境を作るための質問です。

「友達と喧嘩しちゃって…音信不通なんだよね」
「なんで喧嘩になっちゃったの?喧嘩すると辛いよね」

など、気持ちを聞いてげると話をもっとしてみたいと思うものですよ。

9、保証

傾聴するときの保証とは、クライアントが話をしてくれたことは個人情報として、他言しない原則を理解すること、もし話が漏れてしまったときに自分がどの程度責任を持つことができるのかを見極めるようにしてくださいね。クライアントとの信頼関係を築く為にも欠かせないもので、保証があるからこそ安心して話ができ相談してみたいと思うのです。

傾聴について説明しましたが、クライアント自身の話を促したり気付きを与え共感することでお互いの信頼関係を築いていきます。傾聴は何度も繰り返すことで技術が身につきます。