一般的に評価シートのイメージですが…
経営者側が描いている理想の社員像にするために作成されていて、その理想像と照らし合わせて、数か月に一度、今のあなたにレッテルを張られたり、上司の価値観を押し付けられるためのツールになっている…
もちろんすべての会社の評価シートや人事制度がそうではありませんが、多くの会社員の方たちは、このようなイメージを持っているのではないでしょうか。
また、その評価シートの結果がどのようになれば給料がどう上がるのか、よくわからない、可視化されていないということも同様です。
特に、お金の部分の可視化は、社員やスタッフにとっても言いたくても言えない重要な部分です。
ここでいう評価シートは、社員・スタッフを少しずつ、できるだけ自動的に成長してもらうためのツールという意味で、「成長するためのシート」、「成長するためのマッピング」のような使い方をします。
成長すれば、連動して業績も上がるはずですから、自動的に給与も上がることになります。
そのことをできるだけ可視化していき、事前に社員に伝えるということが非常に重要になってきます。
そのことを心理学の観点から作成していくことで、経営側、社員側、そして心の部分まで、できる限り調和のとれたツールにしていくことを目的にしています。
作るプロセスが重要! 心理行動学に合った評価シートを作ろう
この記事は、主に社長の一存で臨機黄変に動くことのできる小さな会社・中小企業向けに書かれたもにです。
社長や管理職の方は、自分の会社に来ていただいた社員、そしてパートさんなど、多くのスタッフたちを育てなければいけません。
新入社員はともかくとして中途採用であっても未経験者の場合は教えるのも大変です。
もし、あなたの会社が今もうまく経営されているのだとしたら、そのやり方は、ベストな方法であることはまぎれもない事実です。
そして、そのベストな方法で運営されている考え方や行動の中、つまり、社長の頭の中にこそ、最も上手く運営していくためのノウハウや考え方が詰まっていることになるのです。
- 〇〇がこの会社にとってもっとも大切なことだ
- ここはこうする、なぜなら〇〇だからだ、
- これは絶対にしてはいけないことがある。それは…
このように一つずつきちんとした理由やルールがあるはずです。
社長が、多くの社員に求めていることは、非常に多くのことです。
例えば、
- 自分の役割や果たすべき使命を常に理解している人
- 自分の業務を遂行する上で、どういう業務をやればいいか、何をどういう段取で行えば最も効果的で、効率がよくなるのかを追究している人
- 中でも特に重要な業務を把握して、ポイントを外さない人
- モノゴトの本質を見極める洞察力がある人
などです。
業務と成果の関係を提示することは大事なことです。
営業のような部署であっても、企画系や総務、会計であっても必要です。
重要な業務を行うことで、どのような成果(数字)がでるのだろう?
逆に、成果(数字)をだすには、重要業務をどう改善していけばいいのだろう?
この重要業務と成果の関係がとても大事なのです。
では、心理行動学の観点で捉えていくとどうなるのか見てみましょう。
おおかまにいえば、以下の3点のノウハウが特に重要かと思います。
- アウトカム:望ましい状態(目標地点・基準など)を明確にできているか?
- モデリング: 優秀な人のどこがどう優秀なのかをきちんと分析しているか?
- メタモデル:ミスコミュニケーションが起きないように言語化されているか?
人を育てるというのは大変でどうしても後回しになりがちですが、このような考え方や価値感を知っておくと、時間と経験を積み重ねて仕事を覚えてもらうようになるだけでなく、その社員がその会社にとっての優秀な人材に一人でも多く成長してもらうことが可能になります。
1,アウトカム:望ましい状態を明確にできているか?
社員が、この会社でこういう行動をとってこういう成果をだせば、100万満点の社員ですよ、といった基準、期待像を事前に示せるかどうかがとても重要です。
共通の具体的な基準や目標といったものがないと焦点が定まりにくく、管理職であれば人による差し加減が増えていくことになります。
社員に早く仕事を覚えてもらう、から優秀な社員へ育てるために、成長してもらうためには、道筋が示されたシートが必要です。
もう一度お伝えしますが。脳・無意識を活用するという意味でも、事前に提示することができるかが重要になってきます。
2,モデリング:優秀な人を分析してまねる
優秀な人はどういう価値基準をもっていて、どういう行動をして、どのように成果を出しているのか?
つぶさに聞き取りや分析をして、誰でも同じ行動ができるように再整理するのです。
これをモデリングといいます。要は「ものまね」です。
優秀な社員・スタッフに育っていってもうためにもう一つ重要なことがあります。
それが優秀な社員をよく観察してモデリングを行うということです。
偉大な業績を残された元プロ野球選手のイチロー氏や落合博満氏も、選手の黎明期には上手いと思った人のマネから入ったといい、そのことを薦めています。
社員を成長させるには、まず、成果の上がっている優秀な社員を特定し、そのプロセスを明確にします。
プロセスとは、優秀な社員は、どのような考え方・価値観・信念を持っているのか、また、どのような行動をしているのかということを細かく観察して確認していくことです。
他の社員がそのことを行えば優秀な社員と同じ成果を出す確率が上がります。
そして、それを組織全体に共有化させ少しずつ浸透させていくのです。その結果、自立型社員ができる確率が上がります。
なぜなら「あなたの今後の成長のゴールはこれですよ」と示すことができるからです。
そのゴールこそ、あなたの会社の人財育成の定義なのです。
だからこそ、評価シートのようなツールは、社員に事前に提示するものなのです。
また、部下の何を指導しどのように成長させればいいのかが明確になっていますので部下指導がスムーズになります。
今までどの会社も曖昧にしていた「人財育成」「部下指導」を定義できるようになります。
3、メタモデル:ミスコミュニケーションが起きないように言語化されているか?
言葉での交流は、必ずミスコミュニケーションが起きます。
相手からある言葉を聞いて、イメージすることが人によって違うからです。
「海」という言葉を聞いて何を連想しますか?
抜けるような青空と青い水平線
家族との楽しいバーベキュー
寄せて返す波の音・・・などなど
人によって違いますから、言葉から相手の意図が歪曲されたり、伝えたい内容が省略されたり、逆にざっくりと一般化されたりしてしまいます。
ですから、そういうことが日々、常に発生していること、を前提にしてミスコミュニケーションが最小限になるような評価シートにしていかなければいけません。
社員やスタッフに正しく受け取られるように、わかりやすく、言葉にしていくことです。
大切なことは、
他の会社の評価シートを参考にして作ったものは役に立ちません。
今、実際に実践していることを言葉にしていく必要がります。
あくまでも経営者の頭の中で考えていること・感じていることを棚卸していくことが重要になってきます。
全国の98%は中小零細企業です。
そして、小さな会社は社長の意識と意志が98%影響します。
社員は社長の鏡です。よくいわれる「子は親の鏡」と同じです。
社員を教育することは自分磨きでもありますから、実は共育となります。
NLP心理学に基づく「評価シート」の作り方
この3つのノウハウを取り入れることで、優秀な社員へと導きやすくなります。
私も以前、学ばせていただきましたが、この2つのノウハウが反映された評価シートの作成例をご紹介させていただきます。
私が以前学ばせていただきました以下の2つの会社の評価シートの作成方法を参考にしています。
・株式会社ENTOENTO様
・人事制度研究会様
社員・スタッフのあるべき期待像を1枚にまとめたシート↓
① の赤枠「項目」について
評価項目は、4つの項目になります。
「重要業務」をすることで期待される「期待成果」。
その重要業務を行うために必要な「知識・技術」、そして「勤務態度」となります。
②の赤枠「配点・ウェイト」について
評価項目では、部署や管理職に応じて、詳細な項目が設定されます。
詳細な項目は、その部署や管理職に応じて、ウェイト(配分)が変わってきます。
新入社員は、知識や勤務態度に配分が多くなるでしょうし、中堅社員は、重要業務に対する配分が高くなりますし、管理職にステップアップするにしたがって、期待成果を求められるようになるわけです。
このような配分を経営者は普段、無意識に行っているこのような細かい部分も可視化してしていきます。
③の赤枠「5点」について
各々の評価項目を5点満点で表現します。その場合、どのような行動をすれば5点になるのかを簡潔に記載します。
また②の配分の合計点を20点に設定すれば、満点の場合は20点×各5点=100点になります。
Aさん、Bさんが仮に80点だとしても、どこが評価されてどこが足りなりのかの違いが一目瞭然になるわけです。
④の赤枠「本人・上司確認欄」について
基本は、評価シートを事前に配布して、自己評価をしていただきます。
そして、管理者側が行った評価をした上で、面談をしていきます。
特に、注意すべきは、社員の自己評価が高く、管理者側の評価が低い項目がある場合、なぜ低いのかを納得していただくまで説明していかなくてはいけません。
この評価シートの作成時の注意点
- 経営者の頭の中を可視化することがまず第一。
- 経営者の理想の社員に育てるためのものではなく、優秀な社員のコピーを育てるためのもの。小さな会社における最も優秀な社員は社長。
- 経営者の妄想・理想を文字にするのではなく、目的は、優秀な人がとっている行動、考え方、価値観をモデリングし、分析してそれを誰でもできるように体系化すること。
- 人材育成とは、1⇒2、3⇒4・・・と一つずつ成果基準を上げていくためのサポートを行うことをいう。
- 第二段階としては給与と連動させる。
例えば、〇〇点以上連続して評価を受けている優秀な社員の場合は、成果も連動しているわけだから、社長が今までやってきたやり方で、給与を上げるという制度をつくる。もちろんその逆もありうる。 - 評価シートは、事前に社員全員に公開するのが基本。
- 2:6:2の法則に基づいている。
- 評価されたものがどうなれば、給料が上がるのかを提示しなければいけません。
例)社員 90点以上2回で、通常の昇給に加えて4号俸アップ
例)アルバイト・パート 85点以上を2回で、時給20円アップ など
NLP心理学に基づく「評価シート」作成例
私が実際に作成した評価シートの例をご紹介いたします。
ワード B4版で作成しています。
評価シートは、社員スタッフが行う仕事のプロセスが見えるかしたもので、事前に渡すもので、脳に目標を認識させるものです。
自己診断をしたものと管理者による評価で、どこがずれているのかを見ながら、褒めることと、注意することを行っていきます。
とりあえずここで説明させていただいた「評価シート」を作成するだけでも十二分な効果を発揮するでしょう。
例えば、小さな会社によくありがちな、1年に1回スタッフの様子を見て、時給や給与を社長の判断で決めているのであれば、その流れを言葉や数値化して周知すればいいのです。
そして、どこかに不備があれば、少しずつ改善していってください。
こちらも併せてお読みください↓
おススメ書籍
社員がある程度、自動で成長していくシートの作成方法、面談、給与のシステムなどに興味のある方は、以下の書籍をお読みいただくことでご自分で作成することができますのでお勧めいたします↓
当サイトでお伝えしています社員の成長を支援する成長支援制度の作成手順がまとめられています。また、小売業、建設業、卸売業、飲食、IT業の成長シート例やモデル賃金なども掲載しています。
また、すでにある程度の人事制度をお持ちの方で、本格的な人事制度を作ろうという方は、以下の会社にご相談してみてください。セミナーやマニュアルの販売などを行なっております。
私自身も勉強させていただきました、
- 株式会社ENTOENTO様
- 人事教育研究所様
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