職場でも、家族・友人・恋人などでも、人間関係で悩んでいる人は多いと思います。
ストレスの8割は人間関係といわれていますね。
コミュニケーションのとり方がもっと上手くできれば、人間関係が円滑にいくのに…と悩んでいる方も多いと思いますが、どこから手を付けていいかわからないのが本音です。
NLP心理学には、コミュニケーション力を高める方法がありますから、この記事を読めば、よく信頼される方、なぜ信頼させていくのかを理解することができます。
その一つに「ラポール」と呼ばれる「信頼関係を築く」テクニックがあります。
コミュニケーション力に優れている人達は、このラポールを短時間で形成させることができています。
それは、何か魔法ような特殊能力を使っているのでしょうか?
いいえ、彼らは相手から警戒心を取り払ったり、一緒にいて安心感を与えるスキルを活用し、結果として、信頼されるような関係に意図して導いているのです。
そのやり方を知れば、練習や慣れは必要ですが、あなたも自然に使えるようになっていきます。
例えば、あなたにとって良いお医者さん、良い先生、あの人になら安心してまかせられる仲間など、あなたにもきっといるはずです。
これは、あなたが無意識に相手を信頼しているということです。
その理由やメカニズムを知ればいいわけです。
あなたが意識して相手に「ある」ことをしてあげれば、信頼度が自然と高くなっていくということになります。さらに無意識レベルのあるスキルを行うことで、さらに深い信頼関係を築きやすくなります。
どうなった状態が「信頼関係を築けた」状態なのかを知る
「信頼」という言葉はあいまいで、多くの人はだいたいのイメージしか持っていません。
まずは、一体どうなった状態が「信頼関係を築けた」状態なのか、定義を知っておく必要あります。
着地点を知っておくことで、スキルの意図を正しく理解することできますし、ご自分で修正することもたやすくなります。
では、どうなった状態のことを指すのでしょうか?
それは相手に、「この人は、私のことをわかってくれている」と感じさせることです。
重要ですので、もう一度お伝えします。
相手に「この人は、私のことをわかってくれている」と感じさせること、なのです。
あなたから見て、信頼できる人たちというのは、自分のことを受け入れてくれていたり、考え方に理解を示してくれていたり、理由は様々でしょうが、このような気持ちになっているのではないでしょうか。
そういう状態を意図して作り出すのが、ラポール(=信頼関係)というテクニックになります。
そのために、大きく3つのスキルを活用します。
- 相手の呼吸を合わせ一体かする「ペーシング」
- 相手のジェスチャーを合わせて無意識の共感を得る「ミラーリング」
- 言葉による共感「オウム返し・バックトラッキング」
このラポールがあってこそ、あなたからの指示などを素直に聞いてくれたり、するわけです。
そうなっていないのは、信頼関係の度合いがまだ低いということですから、見直してみることも必要だと思います。
やはり、人は共感されると気持ちいいですし
否定されると、不快ですし嫌いになったりもしますよね
自分が認められたり、話をじっくり聞いてくれると
逆にうれしく感じますよね
相手の意識・無意識に合わせ一体化する「ペーシング」
開口一番ですが!
ラポール=信頼関係を築くポイントは「同調」です。
相手のペースに合わせていくということが「ペーシング」になります。
ラポールができて初めて、相手に変化・行動を促すことができるようになります。
ペーシングとして、相手に合わせるものはいろいろあります。
- 姿勢や表情
- 動作、手の動き、足の動き
- 声の調子:速さ、高低、間合い、大きさ
- 呼吸:速さ、深さ、リズム ←呼吸を合わせることは特に重要とされています
- VAKの優位感覚、目の動き など
VAK優位感覚、目の動きに関する記事はこちらからご覧ください↓
NLPでは、できるだけ相手の深い部分、無意識の反応=相手の言語や非言語に合わせることによって、無意識レベルで深い関係を築いていくことができる、と教えられます。
例えば、上記のように話をしている相手の仕草に合わせたり、声の調子を合わせて会話を進めたりします。
中でもペーシングでは、まず相手の呼吸に合わせることが最も重要とされています。
そして、リズムを整えていきます。
感情の起伏などもできるだけ相手に合わせていきます。
相手の肩や胸などの動きを観察しながら、呼吸の深さなどを合わせていきます。
そうすることで、お互いの距離が急速に縮まり、親近感を感じたり安心感を感じやすくなるというものです。相手に何かを伝えたいと思うとき、自然と口調や声のトーンを合わせているものです。
小さな子供とお話しするときに、しゃがんで目線を合わせて
ゆっくりと子供の言葉でしゃべるのもペーシングの一つですね
そのとおりです。
小さな子供の動きにこちらも合わせてあげることで
子供も何か喜んでくれますよね
同じような感覚を持つと心をオープンにしやすくなるといえばわかりやすいと思います。昔から“類は友を呼ぶ”というように、自分と同様の好みや考え方を持った人に好意をいだきやすくなります。
逆に好きなものが異なると、考え方や価値観が違う相手と判断してしまい、お互いの距離が縮まらないこともあります。初対面でこれが明確になってしまうと、お互いに距離ができてしまいその後、関係性を発展しようとしても難しいのです。
ページングを行う際は、相手をよく観察(=キャリブレーション)し、表情やちょっとした仕草を読み取ります。
例えば、こんな経験はないですか?
- 仕事で「申し訳ございません」と謝罪の言葉を言ってはいるものの、表情や口調から「本当はそう思っていないな」とか「納得していないな」と感じてしまったり…
- 「わかりました」と返事が返ってきても、「内心は絶対違うな」と違和感を感じたり・
相手の言語と非言語が一致していない状態なのです。大概はバレてしまいますよね。
ペーシングは、呼吸とともに相手の意識と無意識の反応に合わせます。
相手の意識に合わせるから信頼関係(ラポール)ができるのです。
ペーシング①:声のボリューム、リズム、テンポやトーンを合わせる「マッチング」
「この人は、私のことをわかってくれている」と相手に感じさせるためのスキルです
相手が話している声のボリュームや、リズム、テンポやトーンを合わせることをマッチングといいます。
経験したことがあるかもしれませんが、会話のテンポがずれている相手と話をしていると「話しにくいな」と感じたことはありませんか。
ビジネスでもよくいわれることになり、相手の声の調子を意識せず自分のテンポやトーンで話す人は話を聞いてもらうことができず断念してしまうと言われています。
【マッチングの実践方法】
例えばクレームの電話対応で相手は全力で怒っているのに、対応している側が小さく消え入りそうな声で「申し訳ございません。」と言われれば、「やる気がないのか!」と火に油を注ぐ結果になってしまいます。
同様に、早口でしゃべる相手に対してゆっくりとした口調で聞き返していると「バカにしているのか!」と怒り出してしまう人もいます。
ビジネスのシーンでのマッチングはお客様に合わせて声を合わせたりトーンやスピード感などを瞬時に変えることができるかどうかがポイントです。
マッチングが上手な人は、無意識のうちにそれができているので、話していてすぐにわかってもらえるだとか、仕事ができるやつ、などの印象を持ってもらいやすくなります。
【マッチングの注意点】
いくら相手に声を合わせるとはいっても、関係性によっては馴れ馴れしい態度になったり失礼な態度にならないようにマナーにはくれぐれも注意しながらマッチングをしてください。
ペーシング②:言葉による共感「バックトラッキング=オウム返し」
「この人は、私のことをわかってくれている」と相手に感じさせるためのスキルです
話の聴き方のスキルとして高く評価され、コミュニケーション・スキルを高めるうえでかかせないのが「バックトラッキング」つまり「オウム返し」です。
このオウム返しを行うということだけも、相手にとっては自分のことを聞いてくれている、受け止めてくれていると感じてもらえるので、非常に強力なスキルになります。
話し上手で、聞き上手な人と話をしていると、相手に対して深い信頼感を得ることができたり、安心感を持てるはずです。そのためついつい話が弾み、自分のことを理解してくれると感じるものです。
ラポールで信頼関係を築くための聴き方のスキルになり、相手が話した言葉を繰り返して話を進めていく方法です。バックトラッキングというのは「情報の塊を戻す」という意味からきていると言われています。
バックトラッキングを使うときのポイントとして、似たような意味合いの言葉でオウム返しをするのではなく、基本的には、相手が使ったそのままの言葉を使って返してあげてください。
自分の話を聞いて欲しい人はたくさんいますけど、
聞いてくれる人は圧倒的に少ないですよね
だからオウム返しの効果は強力なんです
たしかにそうですね!
やっぱり話を聞いてくれる人の元へ
足を運んでしまいますよね
3種類のバックトラッキング
バックトラッキングには似たような手法に思われるかもしれませんが、使うシーンによって大きく分けて3つの種類に分類できます。
- 「事実」をオウム返しする
実際におきた“事実”をオウム返しする方法です。
例えば「週末子どもと一緒に買物に言ったんだ」と相手が話したら「週末にお子さんと買い物いいですね!何を買いに行ったんですか?」と同じ内容を織り交ぜながら話を内容を広げていきます。
他にも「ランチで美味しいハンバーグを食べたよ~」と言われたら「ハンバーグいいな!どこのお店?」など。全く同じ会話で繰り返すのではなく、キーワードを入れながら話をします。ポイントとして何でもかんでも同じ会話の仕方をしてしまうと、相手にとって嫌な気持ちになりますので要注意! - 相手の話しを「要約」する
相手の話が長かったときに要約して話をまとめてオウム返しする方法です。
「彼氏と付き合って10年になるんだけど、浮気されているのがわかって辛いんだよね」と相手から言われたとしたら「長く付き合って浮気をされたら辛いですね」など短縮してしまって問題ありません。
特に仕事では大変役に立ちます。
例えば、上司に対して「わかりました。〇〇課長がおっしゃりたいことは、xxxxxxxということでよろしいでしょうか?」や、お客様や取引先に対しても「〇〇様がおっしゃりたいことは、xxxxxxxということでよろしいでしょうか?」と要約して聞き返します。
そうすると、まず自分で話の内容を理解しておかないと成立しませんし、相手と内容の確認もできます。さらに相手からは「こいつできる!」と思われるでしょう!
しっかりとオウム返しをしているので、話の内容が変わってしまうこともなく、十分に内容が伝わりますね。 - 「感情」使ったオウム返し
「楽しい」「悲しい」「辛い」などの感情をオウム返しする方法です。
相手が気持ちを理解してくれていると思うので、信頼感を高めることにも繋がります。
例えば、「昨日、嫌なことがあったんだよね~」と聞けば「嫌なことがあったんだ。何があったの?」とオウム返しをすれば問題ありません。本当は伝えたい感情を相手の話から汲み取ることで、相手の気持ちや感情を汲み取ることができるようになります。
他にも、聴き方にはいろいろと種類があります。こちらの記事もご参考にどうぞ↓
バックトラッキングの効果
バックトラッキングを取り入れることでどんな効果が期待できるのかについてですが、話を聴いてくれていることに対して安心と嬉しさを感じます。
何よりも、自分が発した言葉を相手が返してくれることによって、承認されている=認められていると感じられるため、相手の承認欲求を満たすことになります。
結果、その感情によって自己重要感が満たされ相手に対して深い信頼感を得ることにも繋がります。
ただ話を聞いてあげる、よりも、受け止めてあげる
それよりも、受け入れてあげることで
一層、信頼関係が深まるような気がします
あっ!言葉にされると
よくわかります!
バックトラッキングには、相手の話の内容を確認することでもありますし、好印象ももたれやすくなります。
自分の話を真剣に聴いてくれている人に対して、人は嫌な気持ちを持つことはまずありません。
バックトラッキングの注意点
バックトラッキングは相手が今どんな感情なのか、どんな思いが隠れているのかをページングでしっかりと観察する必要があります。観察ができていないと相手の心には響きません。よく話を聴いたうえで使い分ければバックトラッキングの効果も高まります。
むしろ話を聞き取れなかった、理解できなかったのに適当なバックトラッキングをするのはやめてくださいね。
また、バックトラッキングを使う上で、ただ相槌をするのではなくオウム返しと相槌を必要に応じて使い分ける必要があります。ただ意見を繰り返しているだけだと嫌な気持ちになってしまう人もいます。
そのため自分の気持ちや言葉を交えながらバックトラッキングで話すのがポイントです。
そうするとあなたの意見も感じつつ、相手の意見も尊重でき一石二鳥です。
そのほうが話をきちんと聴いてくれている気持ちになりますし、「この人は賢い人だな」感じるはずです。
ペーシング③:相手のジェスチャーを合わせて無意識の共感を得る「ミラーリング」
「この人は、私のことをわかってくれている」と相手に感じさせるためのスキルです
ラポールのスキルの一つであるミラーリングは、相手の表情や仕草を相手の鏡のように、こちらも同じ動作をすることをいいます。
ミラーリングは、本能レベルで影響を与えるとも言われています。
例えばあなたが電車に乗っていてあからさまにヤンキー系の怖い外見の人がいたとします。本能的に「この人には近づかないほうがいいな」と思い距離を置くはずです。
人間は自分とは異なるものに対しては違和感を感じますが、自分と似ているものや同類と認識したものに対しては、抵抗心が生まれにくいと言われています。それを利用したのが相手の鏡になるミラーリングです。
ミラーリングは、相手の警戒心を取り払い親近感を持ってもらったり安心感を与えることを目的としたコミュニケーションの技法の一つです。無意識のうちに心が開くことができ、友好的な関係を維持しながら説得したり影響力を与えることもできます。
ただし、ミラーリングをしていることに気付かれてしまうと、相手にとっては「真似されている?」と嫌な気持ちになってしまうこともあります。
ミラーリングの基本は「気付かれないようにやること」です。
【ミラーリングの実践方法】
ミラーリングは今すぐにでも実践しやすい方法になります。
- 相手が話しているときに同じ姿勢で頭の位置を揃えるのもミラーリングです。
頭の角度、まっすぐなのか左右なのか、傾きを相手に合わせます。 - 相手が腕を組むと、こちらも自然に腕を組みます。
- 相手が手を組んだら、こちらも自然に手をを組みます。
- 相手が気怠そうにイスに座っているのであれば、こちらも気怠そう雰囲気で座ります。
- 相手が身振り手振りで話しているのなら、こちらも同じような身振り手振りを行います。
- 相手のまばたきの回数に合わせて同じことをします。
- 目の動きや口角を真似るだけでも問題ありません。
- 相手が足を組んでいたら同じように足を組みます。
- 足を開いているなら同じように足を開きます。
などです。
【ミラーリングの注意点】
ミラーリングは相手への尊重があってこそ成り立つものです。
人間は蒸し器のうちに自分が最も心地よいと思える姿勢を作り出しています。
その姿勢や仕草を真似ることによって調和を生み出し相手に深い場所での安心感を与えるのが目的です。
相手に対して尊重する気持ちをもっていないとミラーリングそもそもの目的が異なってしまうのです。
また、真似してみて少しでも違和感を感じるときは無理せず、ミラーリングをしないのも大切です。例えば、相手に気付かれてしまったら、ミラーリングを続ける必要はありません。
ペーシング④:クロスオーバーミラーリング
「この人は、私のことをわかってくれている」と相手に感じさせるためのスキルです
前述で紹介したミラーリングは、自分自身が相手の鏡のように動きを真似することなのですが、クロスオーバーミラーリングは、相手の動作のエッセンスを真似ます。
とても現実的な手法です。
例えば。相手との関係が上司や先輩で、腕組みや足組みを真似するのが失礼になってしまうこともありますが、そんなとき部分的に模範することによって、相手に気付かれることなく、違和感なくできるようになります。
【クロスオーバーミラーリングの実践方法・注意点】
上司と話をしていたときに、腕組みと足組みをしていたとします。
両者とも上司相手だと失礼になってしまうので、頭の傾き下限や体の向き、話すペースを合わせるなど部分的に合わせると嫌な気持ちにならず、距離を縮めることができます。
クロスオーバーミラーリングは、相手の動作のエッセンスを真似ていきます。
- 相手が「腕」を組むと、こちらは部分的に「手」を組みます。
- 相手が「足」を組んでいる場合、こちらは「足」を閉じるだけにします。
- 相手が気怠そうにイスに座っているのであれば、こちらは少しだけ緩い雰囲気で座ります。
- 相手が身振り手振りで話しているのなら、こちらは手だけで同じような手振りなどを真似ます。
営業マンなどであれば、このようにして少しだけ、相手のエッセンスを真似るだけで効果をだすことができます。
まとめ
信頼関係を築くラポールためのファーストステップになるのがページングです。
ラポールができてはじめて、相手に対して変化を起こすプロセスに導けることができます。
信頼関係は焦らず築きあげていくこと、ページングができればコミュニケーション・スキルの向上にも繋がります。
深い部分でのラポールを作る為のミラーリングやマッチング、クロスオーバーミラーリングはそれぞれ異なるスキルです。
相手に合わせて使い分けること関係性やシーンにによっても最適な方法を選べると、不快な気持ちをもたせてしまうことなく信頼関係を築いていけるようになるはずです。
バックトラッキングは話を聴いてくれていると感じ、相手に対して好印象を持つだけでなくもっと距離を縮めて仲良くなりたいと思えるきっかけにもなります。
信頼関係を築くうえで聴き方ほど重要なことはありません。
聴き上手で話し上手な人に対して人間は嫌な気持ちにはなりませんので、バックトラッキングを使いこなしてみてくださいね。