視覚だけで相手の考えがわかるアイ・アクセシング・キュー

相手の目の動きを見れば何を考えているのかわかると言われたことはありませんか?

眼球の動きを観察することで、相手の非言語の情報を得ることができます。
NLP心理学では「アイ・アクセシング・キュー」といい、テクニックの一つです。
このテクニックは仕事だけでなく日常生活でも使える技法となります。

アイ・アクセシング・キューとは具体的にどのようなものなのか、実践、注意点なども含めて説明していきます。

1、アイ・アクセシング・キューとは

人間の視線が五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)に連動することを利用して、相手の気持ちを読み取るためのテクニックです。

もともとアメリカの警察やFBIでも使われている実用性の高い技法としても知られ、映画「交渉人」の中でも使用されていて知られるようになりました。

日本では「視線解析」と呼ばれています。
アイ・アクセシング・キューは、ビジネスで交渉が必要になったときなど、実際に目の前にクライアントがいて絶対に決めたい商談など効果的なアピールを行うことができます。

アイ・アクセシング・キューは相手の目の動きから脳が視覚・聴覚・体感覚のどこにアクセスしているのかを分析します。だいたい20歳までにほぼ確立し、その後は変わることが少ないと考えられています。

ここがポイント!

アイ・アクセシング・キューを理解していると、相手が今何を考えているのか、もしくは過去の何かを思い出しているのかを視線で判断できたり、相手の気持ちを読み解くことができます。

2、アイ・アクセシング・キューで覚えておきたい視線の動きとは?

アイ・アクセシング・キューについては、相手になにか質問をしたときに視線の動きがどこに行くのかによっても変わります。視線は上下に動くこともあれば、左右に動くこともありますね。

 

 

① 視線が上に動く:視覚のイメージにアクセスするとき

左上に動く

想起、つまり記憶された視覚イメージ、過去の視覚イメージを思いだしている状態です。
例えば、「海」と聞いたときに、地平線や蒼い海や空などの風景や画像としての記憶を呼び起こそうとするとき、視線は左上に動きます。

過去のイメージに関する質問例
  • 昨日の昼食は何を食べましたか?
  • あなたの家から一番近いコンビニはどこにありますか?
  • フランスの凱旋門の形を思い出してください?
  • 友人の中で一番髪が長いのは誰ですか?

右上に動く

構成、つまり未来の視覚イメージや架空の想像事を考えている状態です。
過去の記憶にはない、まだ自分の中の未確立な情報を見ようとするときに、視線が右上に動きます。
嘘をつくときも同様になることがあります。

未来のイメージに関する質問例
  • この部屋に居る〇〇さんが、女装したとしたらどんな風になるでしょうか?
  • 理想の家に住めるとしたら、どんな家に住みたいですか?
  • 地図を逆さに置いたら南西はどの向きですか?
  • 10年後のアナタは、どんな髪型でどんな服を着ているでしょうか?

② 視線が左右に動く:聴覚などの音を思いだすとき

水平に左に動く

想起、つまり過去の記憶された音、言葉や過去の出来事の中での会話を思い出している状態です。

過去の聴覚に関する質問例
  • 自宅の電話の呼び出し音はどんな音ですか?
  • 子供の頃、親から何と呼ばれていましたか?
  • あなたの中学生の時に好きだった音楽を思い出してください。
  • 黒板のチョークの音を思い出せますか?

水平に右に動く

構成、つまり未来の音や言葉、聴覚情報を想像している状態です。
例えば、まだ聞いたことがない音をイメージするときに、視線が水平に右に動きます。

未来の聴覚に関する質問例
  • 3億円当選の電話がかかってきました。何と答えますか?
  • あなたの好きな歌を〇〇さんが歌ったら、どのようになるでしょうか?
  • この部屋の人が全員で大声をあげたら、どの位うるさくなるでしょうか?
  • 水の中で自分の声はどんな風に聞こえるでしょうか?

③ 視線が下に動く:体で何かを感じているとき

左下に動く

内的対話をしている状態です。心の中での対話、自問自答している状態になります。
「この仕事は嫌だな、次の仕事は何にしよう」「この課題、どう対応すればいいのだろう」などの自問自答がそうです。独り言のときもそうなることがあります。

内的会話に関する質問例
  • 自分で自分を励ます時は、心のなかで何といっていますか?
  • 「良くやっているね!」と自分の声を聞いてください。
  • 自分が迷った時、自分に何と言っているでしょうか?
  • 自分に話しかけるときには、どんな声の調子ですか?

右下に動く

触覚や体感覚を感じている状態です。どんな刺激がなのかを考えている状態です。
過去の体験を思い出して感覚的になっているときにも右下に動く場合があります。

体感覚に関する質問例
  • 冷たいプールに足を入れると、どんな感じがしますか?
  • 焼きたてのパンの味は?
  • 右手と左手は、どちらが暖かいですか?
  • 最近、最も深いリラックスを感じたのはいつですか?

※アイ・アクセシング・キューでは、右利きの人は先程紹介した一般的なパターンに該当することが多いのですが、左利きになるとその反対になるパターンもあります。(左利きでもそうでない人もいます)

3、アイ・アクセシング・キューの実践例

実践例1)
例えば、相手と話をしているときに視線が上ばかりにあるとします。その相手は視覚からの情報を優位にインプットする傾向にあります。
そのため、どんなに工夫してわかりやすく話をしても、相手にはなかなか届かないことがあります。
そんな場合は、数字やグラフ・画・イラストなど、視覚に伝えられる手段を用いる方が、相手には伝わりやすいかもしれません。

実践例2)
会話中に視線が左右に動きやすい人の場合は、話をするときに記憶にある言葉や記憶を思い返しながら話をする人ですから、言葉で伝えるために、正確に、噛み砕いて、わかりやすく話したり、会話として一問一答で式で伝える方が相手にとっても理解しやすくなります。

実践例3)
セミナーを実施する場合は、内容をイメージできる資料を使って、わかりやすい講義を行い、小グループに分けて体験できるエクササイズを行うと、VAKをすべて満たすので効果的です。

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4、まとめ

仕事での取引先はもちろん友達や家族との会話でも視線を見ると「あ、今話しをしても理解できないな」とか「話に集中していないな」などがわかると思います。

話をしてもなかなか伝わらないとき、相手も同じような感覚に陥っていることもあります。そのためお互いの信頼関係を築くためにも相手の視線を読み解き、今何を考えているのかをしっかりと考えたうえで会話を続けたほうがいいのです。

アイ・アクセシング・キューを使えば、相手の心理が読み解きやすくなるので今考えていることがわかりやすくなります。さまざまな場面で活躍するはずですよ。

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