フィードバックの効果

コーチングでは、客観的事実や主観的事実を伝える為にも「フィードバック」は欠かせないものです。なんとなく意味はわかっているものの、詳しく理解できていない人も多いのではないでしょうか。

1、コーチングのフィードバックとは

フィードバックはコーチング以外のさまざまなところで用いられるものです。電子工学でいえば「電気回路で出力する一部を入力側に戻す」意味があります。コーチングで使われているのは「コミュニケーションを交わしている相手が外界に向けて伝えていることを、その人に返す」ことをいいます。

相手が自分以外の人間にどんな影響を与えているのかを、相手に伝える為のプロセスというと分かりやすいかもしれません。フィードバックは特別なものではなく、わたしたちの生活の中でも取り入れられています。例えば私たちは毎日鏡を見ます。鏡側から見ればわたしたちの外見を映すことによってフィードバックを送り、ヘアスタイルを整えたりするきっかけをもらっています。

そもそもどうしてフィードバックが必要なのかというと、私たちは外側の世界を知り身の安全を図る為に五感が発達しました。でも自分の内側にあるものに気付くのは容易なことではありません。自分が今どんな状況に置かれているのか、どんな影響があるのかは人からフィードバックをしてもらってはじめて来づけるケースが多いのです。

2、コーチがフィードバックを学ぶべき理由

どうしてコーチはフィードバックについて学ぶ必要があるのかというと、今自分の言動や行動が自分が決めった目標とどのぐらいの誤差が生じているのか、フィードバックを通して把握することができます。また、人間は日常的なコミュニケーションでは、正直なフィードバックを伝えることは良しとされておらず、習慣化されているものではありません。

コーチングを通して、コーチとクライアントが共通の目標を持ったときに最大の効果を発揮すると考えられています。そのためには、伝える側が、相手がどんな目標を持っているのかを理解していること、受け取る人がそれを求めていることにあります。

コーチングのフィードバックによって、自分が他社に与える影響を理解し、人間関係のなかでの立ち位置やあり方を考えるきっかけになります。本来取るべき望ましい行動を考えるきっかけにもなります。自分を客観的に見るきっかけにもなると考えると、コーチにとってフィードバックは欠かせないものであるのが理解できるのではないでしょうか。

また、フィードバックを学ぶうえで覚えておかなくてはいけないのが、相手から返ってきたフィードバックがコミュニケーションとして自分が取っている態度の結果であるということです。これを理解していないと、せっかくフィードバックをもらっても効果を得られるはずがないのです。

3、フィードバックにはどんな種類があるの?

フィードバックには2通りの種類があります。1つ目はあなたメッセージと呼ばれるもので、相手を主語にして伝えます。

「あなたは◯◯です」と伝える方法になり、客観的事実を鏡のようにして伝える方法です。相手をできるだけ見たまま・聞こえたまま記述するように伝えるのがポイントで、伝える側の評価や判断を入れないようにします。相手が受け取りやすいニュートラルな表現にして伝えます。

2つ目は私メッセージと呼ばれるもので、自分を主語にして伝えます。「私は◯◯と感じました」と主観的な感情で相手に伝えるフィードバックです。大切なことは自分の責任であることを認識することです。発言自体に責任を」持てないような伝え方は逆効果になります。

フィードバックは一般的なものではあ成立しません。相手にとって必要性が感じられることであると、その効果は最も高くなります。また、フィードバックする内容は行動の変容ができる範囲のものでないと、指摘とはいえません。タイミングを見ながら伝えること、また相手に適切に伝わっているのかの確認をすることによってフィードバックは成立します。

4、フィードバックを受け取るときの障害とは

フィードバックについての必要性は十分に理解できたと思いますが、準備が整っていないと正直に受け取れないのが人間です。実際にフィードバックを受け取ると良いことをいわれたのか、それとも悪いことを言われたのかを瞬時に判断することができます。

悪いことを言われているときは正直聞きたくないと思うのが、私たちでもあるのです。受け取りたくないフィードバックの場合、無意識のうちに言い訳を考えてしまったり他の人に悪口として伝えてしまうこともあります。

また、受け取った人にショックを与えてしまうのも忘れてはいけません。ただしショックは時として気づきに繋がることもあります。また先回りしてショックなことを考えるプレショックもあります。その時は気付かないものの時間をかけて徐々にストレスを感じるようになります。コーチングでフィードバックを素直に受け取れない、拒絶が出てしまうときは、クライアントとコーチの信頼関係が成り立っておらず基盤ができていない状態です。

5、まとめ

フィードバックは主観的にコントロールする姿勢も重要です。自分でコントロールできるものでもあり、自分から求めることによってストレスをへらすこともできます。自分でコントロールしたほうがショックも少なく正直に受け取れるのが人間なのです。また今までのコミュニケーションを振り返るメタコミュニケーションも大切です。