※ここでは「組織」について語っていますが、組織を家庭に、経営者・管理者等を親というように置き換えても結構です。 メカニズムは同じことです。
そもそも家族・組織が瓦解するというのは、どういう状態のときなのか?
そもそも家族・組織が瓦解するというのは、どういう状態のときなのか?
例えば、こういう言葉が社内から出始めると危ないと言っていいかもしれない。
「いや~組織がぐちゃぐちゃです!」
「あいつら本当にダメや!」
「ほんと、この会社って最低!」
「なんであんな人が○○な地位にいるのか全くわからない!」
ストレートにお伝えすると、経営者、管理者、一般社員がお互いに、不平不満、愚痴、文句、悪口などを「影で言い合う」 ことでネガティブなエネルギーが社風に充満している状態のこと。
現実的には、社内でさまざまなトラブルが現象として発生しています。
部署間としての横の連携がうまくいっていなかったり、 経営者が鬼の経営と称し、社員を罵倒したり、道具として扱われる、コロコロ意見が変わり何倍もの労力がかかり精神的に苦痛、性格が悪い社員がいる・・・など
こういう状態になると、モチベーション=やる気は下がる。
こんな状態の中で、さらに上司から成果を出せとか言われると、もともとないモチベーションがマイナスになる。それを見ている 経営者・上司側でも、社員に対してイライラ・不満がつのり、部下の悪口や文句を陰で言うようになる悪循環が起こる。
少し言いすぎなのだろうか?
はっきりいって、程度の差こそあれ、 どの企業組織もこのような要素や火種はを大なり小なり持っているし、人間が運営しているのだから、意識のズレは決して0にはならない。つまり、このような要素や火種を無くしてしまおうと考えるのではなく、最小限にしていく仕組みを作ろうという発想が必要だと思う。
ところで、何が原因なのか?
心理ゲームという言葉がある。
次のような事もその一つのゲームになる。
ある人の言ったことが次の人に伝わり、さらにそれが大きな誤解を呼び、気がついたときには社内が異様な雰囲気に包まれて、 お互いが攻撃し合うような関係になっていく…こんな風。
そもそもこのゲームの背景に何があるのか・・・
それは「怒り」です。
- 自分が何かしらの怒りを受ける。
- 受けた怒りを解消するために誰かに悪口・文句を吐き捨てる。
- 自分にとっての弱者に八つ当たりをする。
- 他の人間関係がうまくいかなくなるように情報を流す。
このように、あまり人として好ましくないことを「無意識」にやるようになる。
この無意識にというところが問題なのだ。
なにせ自覚がないので、たちが悪い。
そして、この「怒りのゲーム」は、最終的にどうなるかといえば、グルグル回って、やがて自分に帰ってくる。
仏教では因果応報とか呼ばれる。それと同じになる。
自分の出したエネルギーは最終的に自分で受け取ることになる。
「与えるものは、受け取るもの」という言葉のとおりで、この場合はマイナスなものが返ってくる。
例えば、社長がある管理者を叱る。
そして管理者が中間管理職を叱り、そのまた部下から部下へ怒りが伝承されていく。その怒りがお客様に向いてしまうと、この会社のサービスの質は何だということになって 、二度と買わなくなったり悪評が流れたり、結局、経営トップである社長に戻ってきてしまう。
怒りのゲームは家庭にも波及する
さらに、「怒りのゲーム」は家庭にも波及していく。
弱者である奥さん(そうではない場合もある)や子供に対して無意識に当たるようになる。よく奥さんが子供にすごく怒っているケースを見ることがあると思うが、 そのほとんどのケースは、ご主人への不平不満などの怒りを本人に伝えることができずに 、自分自身の中でうまく処理できずに、弱者である子供に向けられているケースが多くなっている。
つまり、投影しているわけです。
これもまた無意識で行動している。
問題を問題として自覚できたとき、80%は解決できたも同然だから、こういうことを少しでも知識として知っておいてほしい。
そして、まだまだある。
社内で怒りがウィルスのように伝染し充満してしまい、どうにもならない状況になった環境になると、 優秀な人たちはたいてい辞めてしまうことがあ多い。同時に、それでも生き残る人たちがいる。
それは・・・
怒りを表面にだして怒りをパワーアップして他の人に当たりちらして解消できるクセが強い人であったり、 何も言わないで怒りを体内にグッと抱え込んでしまい体を壊してしまう人たちだ。
社長のストレスやフラストレーションは伝染していくので、 今、お持ちの経営手腕に加えて、感情のコントロールやコミュニケーションスキルなどは学んでおく必要があるだろう。
組織を瓦解するもう一つの原因は、コミュニケーション能力だ。
例えば、今の社会ではパソコンやスマホが発達し、メールやSNSでのコミュニケーションが一般化してきた。
実際、便利がいい。 何せいつでもどこでも連絡ができるし、相手の顔を見ずにすむから伝えやすさのハードルも下がるし、少し考えてから送ることもできるが、反面、自分の伝えたいニュアンスがそのまま伝わる度合いは低くなる。
コミュニケーションのやりとりの中では、「言葉」で伝わるのは全体の7%でしかなく、 残りの90%以上は相手の雰囲気や態度から感じとっている。何を伝えたのではなく、どのように伝えたかが非常に重要だ。
このように、現在では「自分が伝えたいこと」と「相手の受け取ったこと」の ズレが非常に大きくなりやすいから、本人のいないところで事実と違うことを推測をしてしまうことが起きてくるのだ。
結果として、話が事実と違った方向へと拡大しやすい。
これらの問題に向き合うためには組織ぐるみの工夫が必要だ。
組織には必ずズレが生じて怒りの心理ゲームが必ず起きるものだという認識を、 社長はもちろんのこと社員全員が持てるルールを確立することなのだ。
まず、ズレがないように5W1Hで確認しあうこと。
次に、もし怒りが発生したらその相手に対して直接伝えること。
本人の前では何もない顔をしていないところで不平不満、 悪口をいうのが一般的ですが、そうではなく本人に伝えます。できれば大人としての言葉に置き換えて本当の気持ちを伝えられるようになると 、お互いがWin-Winになる。
具体的にはこう↓
- 今の現状を事実に基づき伝える。
- 自分の気持ちをIメッセージ(「私は」を主語にして)で自分の責任で伝える。
※1 「お前は・・・だ!」というよくある伝え方は、相手の責任にしたyouメッセージになるから注意がする。
※2 例:私は苦しいです。 私は辛いです。 - 自分のして欲しい要望をきちんと伝える。
※どういう結果になれば自分が満足するのかを把握する必要があります。 - 相手の答え・意見を聴く
この順番どおりに伝えるようと効果的である。
まとめ
中小企業の組織では、社長一人の力で98%が決まる。 組織にでている良い面・悪い面のすべては経営者自身の鏡そのものだから、 経営者自身が変わる姿勢がないと当然ながら組織はよくならない。
コミュニケーションというとよく血液に例えられる。
血液は本来、全身の隅々まで酸素や栄養分を運ぶ役割がある。
ストレスの80%は人間関係だといわれる。
何よりも、会社と家庭は連動している。
組織にとっての酸素や栄養分を運ぶことができる風通しの良い社風と社内コミュニケーションをぜひ行ってほしい。