接客業で離職率の高い会社がとるべき4つのポイント

離職率は業界によって大きく異なりますが、中でも接客業は特に離職率が高い業界と言われています。

接客業に携わる人は多いですが、離職人数も多いため業界全体で人手不足の傾向にあります。
そのため、近年は1つの会社で長く働きたいと考えている方の中には、就職先の選択肢から接客業を外すという方も少なくありません。

そんな接客業界ですが、離職率が低い会社も存在しています。
すでに接客業界で活躍されており部下や後輩の育成をしている方、今後接客業界で事業を展開していきたいと考えている方にとって、離職率を低くする方法は気になるはずです。

そこで今回は、接客業で離職率の低い会社が行っているポイントを4つご紹介させていただきます。

1、経営理念を実現するために、理念の意味を理解させる

ほとんどの会社では、経営理念を掲げています。
経営理念はその会社の基本となる考え方であり、会社を運営する上での指針や社会に向けたメッセージといった意味があります。

離職率の低い会社は、この経営理念を社員一人ひとりの行動指針であり、日々の業務の根幹にある大切な理念であるということをしっかりと教育しているのです。

このような教育を行うことで、従業員それぞれがその理念を体現した動きをするようになります。そうなると、会社としての魅力が高まり、お客様に理想的なサービスの提供が可能になるでしょう。

それに加えて、従業員は会社への帰属意識が強くなることや、業務の際に判断に迷う時の指針が明確になることで働きやすくなったと感じるようになるため、会社へのエンゲージメントが高まります。

結果として、離職率が低い職場になるのです。

例えば、1968年に創業した名古屋市発の喫茶店であり、現在では全国940店舗以上のフランチャイズチェーンを展開するコメダ珈琲も離職率の低い会社として有名です。

コメダ珈琲の経営理念

「私たちは”珈琲を大切にする心から”を通してお客様に”くつろぐ、いちばんいいところ”を提供します」

この経営理念は、ただ会社が掲げている目標といった意味合いだけではなく、の理念がどういう意味なのか、それを業務にどう浸透させるか、ということを学べる教育を行っています。

結果として、一度でもお店を訪れた人は、この理念が形になったサービスを体験できるのです。

経営理念はとってつけた理念ではなく、理念を実現するために何をどうするのかということを重点的に考えさせることで、社員一人ひとりの行動が明確になり、一丸となって仕事が行えるでしょう。

このような体制こそが、離職率の低い組織である理由なのです。

2、フィードバックというスキルを理解して、活用する

どんなに注意していても、仕事を行っていれば失敗は必ず起こるものです。
その際に、相手を責めて叱ったところで問題が解決するとは限りません。

むしろ、失敗する=激しく責められるという気持ちに囚われた人は、次第にその会社に嫌気が差し、退職という選択肢を選ぶケースが多々あります

叱ることが悪いとは一概には言えませんが、叱ること以外の方法で問題を解決し、それによって相手が成長できるように促せる方法があれば、その方法を採用するべきでしょう。

離職率の低い会社は、この方法を実践しています。

その方法とは、相手が失敗した場合に責めるのではなく、どうすればよかったのかを気づいてもらうことを目的とした指導方法です。

失敗した方に対して「何が起きたの?」「どうしたの?」など、whatやhowで問いかけ、実際の行動と取るべき行動を必ず本人に考えさせます。

自身で振り返る反省は記憶に残り続け、そこから新しい発見があるでしょう。
相手が失敗したとき、うまくいかないとき、そんなときこそ心地よく解決していくのが一流の証です。

このようなフィードバック形式の指導方法を行えるスキルを身につけ、活用することで相手に対して前向きな指導が可能になります。
そして、そのような指導を行うことこそが離職率の低い組織になる要因といえるでしょう。

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3、チームワークを大切にする

チームワークを重視する職場であれば、個人で動く職場と比べて離職率が低い傾向になります。

ただし、それは仲良しチームになるのではなく、どういう状態のチームワークが良い状態なのかという定義を決めてから実行することが大切です。
この定義は職場によってそれぞれ異なりますが、例を挙げると下記のようになります。

◎一人ひとりの役割が決まっている

  • 重要な業務とそれに対する成果を知っている

◎コミュニケーション力があることが評価基準の項目になっている

  • 人の話を受け止められる
  • 困っている人をみたら積極的に声をかける
  • 困っていたら助けを求める
  • 人の悪口を言わない
  • 大人の対応として必ず本人に伝える
  • 不満は提案に変える

このようにルールが明確になれば、それに則った形でチームワークが形成されます。
適切なチームワークがあれば相乗効果により、業務効率が格段に向上します。
結果として職場の雰囲気が良くなり、働きやすい職場になるでしょう。

4、接客の対応力

接客の対応力を上げることも、離職率の低い職場で実践されています。
接客業においてお客様に寄り添った対応は非常に重要なものです。

例えば、足を怪我されている方に対するフォロー、お子様連れのお客様に対する思いやりのある対応など、その方の状況に応じて臨機応変に対応しなければいけません。

それは接客業の醍醐味であると同時に、経験値が不足している方からすれば難しい問題になり得るでしょう。
対応方法に正解はないため、どうすればよかったのか自問自答を繰り返す方も少なくありません。

ここがポイント!

接客業においてスタッフのストレスになる大きな要因にクレームがあります。

お客様がサービスや商品に対して不満や不快な気持ちを抱いた際に、そのご意見を伺うのも接客業で働くスタッフの仕事です。

しかし、中には感情のまま言葉を口にし、怒鳴り散らしながら話される方もいらっしゃいます。さらに、近年では理不尽ともいえるような要望やクレームを従業員に要求する方も一部いらっしゃいます。

これらの要因が重なると結果として心が疲れてしまい、退職する方が増えてしまうのです。

そのため、離職率の低い職場を目指すためには、日々接客の対応力を向上させる指導を行う必要があります。

お客様の気持ちを察し、寄り添えるスキルを従業員に身につけさせることで、仕事に対するやる気やモチベーション維持に効果的です。

さらに、クレームなどの問題が発生したときの対応力を養うことで、自身で対応しなければいけない問題なのか、上長が対応するべき問題なのかを冷静に判断できるようになるでしょう。

接客の対応力を上げることで、従業員のスキルアップや働きやすい環境構築、離職を防ぐなどの効果が見込めるのです。

まとめ

少子高齢化の時代になり、年々労働人口が減少している現代において、離職率が高いことは決して放置して良い問題ではありません。

離職率が高いということは、その職場や業界において大きな問題が起こっているという証拠でもあります。

離職率が高いとされている接客業の中でも、離職率の低い会社も多くあります。
このような会社がどのような体制で運営を行っているのか、どのような点に注意しているのかを知ることで、接客業界全体の環境改善に繋がるでしょう。

接客業は、私たちが快適に外食や買い物を楽しむ際に欠かせない存在です。
指針を明確にし、従業員がスキルアップしやすい環境づくりに取り組むことによって、より良いサービスをお客様にご提供することができるでしょう。