人間の行動の裏側の「肯定的意図」を探す:ポジティブインテンション

人間の行動の裏側には、必ず肯定的な意図があります。

「どんな行動にも、その人なりの肯定的な目的がある」という NLP の前提になります。
つまり、問題行動や望ましくないと感じる反応でさえ、 “本人が何かを得ようとしている” ポジティブな狙いが裏にある、という考え方です。

もしあなたの、またはクライアントに問題行動があるのなら、
その問題行動の奥にある、“守りたい価値” を見つけるスキルがあることを知っておくと役にたつかもしれません。

肯定的意図(ポジティブインテンション)とは?

「どんな行動にも、その人なりの肯定的な目的がある」という NLP の前提です。

現象面で否定的に見えることの裏側にも必ず肯定的な意図があるということです。

例えば、飲酒、喫煙、過食、寝坊など
数々の悪い習慣、したくないのにしてしまう行動、などにも必ず肯定的意図があります。

つまり、問題行動や望ましくないと感じる反応でさえ、 “本人が何かを得ようとしている” ポジティブな狙いが裏にある、という考え方です。

1.肯定的意図を探る3つのメリット

なぜ、この肯定的意図が大事なのか?
―3つのメリットがあります↓

  1. 抵抗が減る
    行動を否定する代わりに “目的” に寄り添うので、相手・自分ともに心理的防御を下げやすい
    例)子どもが夜更かし→「早く寝なさい」より「遅くまで起きたい理由があるんだね、何が気になっているの?」
  2. 視点が拡がる
    行動ではなく「ニーズ・価値観」に注目することで、柔軟な代替手段を探せる
    例)甘い物の食べ過ぎ→「リラックスしたい」という意図なら入浴やストレッチを提案
  3. 自己受容が進む
    自分の望ましくない習慣にも “味方の側面” を見つけられ、自己否定が減る
    例)緊張で早口になる→「失敗したくないほど真剣」という肯定的意図

2.エクササイズで肯定的意図を探る

9ステップで肯定的意図を探る方法(セルフワークにも使えます)

  1. 改善したい否定的行動を特定する
    例:会議で意見を求められると頭が真っ白になる
  2. その行動をしている自分を再体験する
    体験しているときに感じる感覚を特に強く感じる体の場所を特定し、色、音、体感覚などを明確にしていく
  3. 上記②で再体験した感覚をX(エックス)と名付け、そのXにその行動を取る肯定的意図を聞いていく
    「その行動を取ると何が得られますか?」
    「そのことで何を教えてくれようとしていますか?」
    「その行動で得られている良いことは何か?」などと尋ねる
    – 内省の場合は自分に、コーチングなら相手に
  4. 何か答えてくれたような感覚があったら、それを答えとする
    答えてくれたら必ず感謝を伝える
  5. 上記④の答えが否定的表面的なときは、質問をし続けて肯定的意図を発見する
  6. 出てきた答えが抽象的なら、もう一段深掘り
    「より深いレベルでどのような肯定的意図があるのですか?」などと質問する
    例:「失敗を避けたい」→「評価を失わずに安全でいたい」
  7. 意図を尊重しながら、達成方法の選択肢をブレインストーミング
    – 「他にも安全を感じられる手段は?」
  8. 選択肢を評価し、実行しやすい代替行動を1つ選ぶ
    – 深呼吸 & メモを見ながら答える、など
  9. 試してみて、意図が満たされるかフィードバック
    – 満たされなければ ③ に戻り再調整

深層部に存在する肯定的意図には次のような潜在的な意図が多いようです。

例えば、自己承認、愛情、健康、自己防衛、成長、自由、安心、安らぎ、などです。

3.よくある誤解と注意点

  • 誤解:「行動そのものを肯定するの?」
    実際は、行動 ではなく 意図 を肯定。行動は変える対象です
  • 誤解:「意図が素直に出てこない」
    実際は、最初は“自動思考”が邪魔をすることが多いので、リラックスして「もしあるとしたら?」と仮定で聞く
  • 誤解:「全ての行動にポジティブ面があるのは不快」
    実際は、受容は加害行為を許すこととは別。目的を尊重しながら、行動の責任はきちんと問う

4..練習アイディア(初心者向け)

  • 1日1回、自分の小さな習慣を観察→意図を書き出す
  • ドラマや小説の登場人物を例に意図を推測
    – 悪役の行動にも「所属感」や「承認」を見つけられるか挑戦
  • 家族・同僚との軽い摩擦場面で“意図探し”質問を実験
    – 「◯◯したいって思っているのかな?」と共感的に声かけ

まとめ

肯定的意図は 「問題行動の奥にある、“守りたい価値” を見つけるレンズ」。

このレンズを通すと、批判よりも創造的な対応策が自然に浮かび、相手との信頼や自己受容も同時に深まります。

まずは小さなシーンで “意図を探してみる” ところから始めてください。

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