まずは現状チェック
心地よいミーティングを行うために
まず、今のミーティングの現状をチェックしてみましょう。
- 意見を言うと、必ずそれに対して全否定したり、攻撃したり、ネガティブな指摘をしたり、人格否定ともとれる発言をする人がいる。
- ミーティングで結論がまとまらずに、うやむやになっていることが多い。
- このミーティングでの参加の目的がわからない。
- 参加人数が多すぎてディスカッションにならない。
- やる気のない参加者が多い。
- テーマに関する一番のキーパーソンが参加していない。
- 結局、役職の上下での発言力で決まってしまう。
- 必要な文章やレジメ、ホワイトボードなどの設備が準備ができていない。
- 自分に仕事が振られないようにいつもビクビクしている。
- 事前情報が少なすぎてテーマについてよくわかっていない。
- 自分の立場では発言しにくいことがある。
- ミーティング後、決断されたことに対しての文句や不平不満が多い。
- 自分の意見の正当性を主張しているだけになっている。
- 参加者が尊重されていない。
- ミーティングのテーマと主催者の意図が違うように思える。
- 参加者の一人一人の話が長い。
- ミーティングの途中から単なるコメントの交換になるので、結果、会議が長くなる。
- 仕事上でうまくいかないことを部下の責任にされるだけのミーティングになっている。
- 私の意図を誰もわかってくれない。
- ミーティングで決まっても1週間そこそこで平気で覆る。
以上、チェックが多ければ多いほど、ミーティングに何かしらの改革や改善を行う必要があります。逆にいえば、心地よいミーティングとは、以上のチェックリストを、限りなく満たしているミーティングといえます。
心地よいミーティングに必要な条件とは?
以下の8項目です。
中には当たり前の項目も含まれていますが、順番どおりに並べてみます。
- ミーティングの種類と目的
- ミーティングのルールを作る
- 目的を達成するのに必要なメンバーを集める
- 準備する
- 質問力を活用したミーティングを行う(コーチングなど)
- 統合する
- 議事録
- その他 ~熟成期間の法則~
1. ミーティングの種類と目的
- ミーティングの種類と目的について合意がされている
- 何をもってミーティングが成功したのかの定義が合意されている
この2点が、ミーティングにおける最重要項目です。
●決断・判断を要求するミーティング
問題・課題などの背景、現状、自分の提案、そして提案の理由、また提案を導入したときのメリット、デメリット、導入後に手にすることができるメタアウトカム(目標すら超えるものという意味)について発言する。
- 目的:相手を納得させること。
- 注意①:納得する相手の信念・価値観・クセなどできるだけ知って、それらを満たす提案にすることで確率があがる。
- 注意②:1つのことを適当に決めたと思われるのを人は嫌うので、提案は3つほど用意しておき、「~以上が考えられるが、○○○という理由で案○を選択したいと考えております。
ですが、この提案を行う、本当に深い意味というのは、実は○○○○なのです。(←あったら最高です)」
●問題解決のためのミーティング
うまくいかない業務、トラブルなどについての対策を練るためのもの。
- 目的:解決法を導きだすこと。
- 注意①:問題の本質を見抜くためには、80:20の法則により、その問題の中で最も影響している重要な20%を抑えること。
- 注意②:問題の本質、問題の制限となっているものを把握した上で、結果思考(手にいれたい理想の状況)を活用したコーチングスキルを活用する。
●ブレーンストーミングをするためのミーティング
参加者全員の意見やアイデアを収集するためのもの。
- 目的:解決法を導きだすこと。
- 注意①:参加者が自由に話すことができる雰囲気が必要。
- 注意②:どんなくだらないと思えるようなアイデアでも決して否定しないこと。
- 注意③:なるべく楽しみながら行うこと。
- 注意④:結果思考(手にいれたい理想の状況)を活用したコーチングスキルを活用する。
●評価・フィードバックのためのミーティング
なんらかの結果に対する評価やフィードバックを行うもの。
- 目的:こちら側の正確な意図を伝える。
- 注意①:評価やフィードバックを個人攻撃や批判と受け取られないようにする。
- 注意②:youメッセージ「あなたは~だ。~すべきだ。」よりも、Iメッセージを使う。
「私はこう思う。こう感じる。こういう体験があった。私だったら~する。」 - 注意3:アサ―ティブなコミュニケーション法・・・
相手も自分も対等に会話ができるコミュニケーションを心がけることで、
相手の人格を否定せずに自分を主張するスキルです。
1、事実 (今、○○○○という現状があるわけだけど・・・)
2、気持ち (それに対して、私は今、○○○○と感じています。)
3、要求 (だから、もっと○○○○すると××××かもしれないですね。)
4、結果 (いかがですか?)
この順番で会話するよう心がける。通常は、1~4までがごっちゃにして相手に
伝えているから、こじれてしまう。
●情報共有のためのシェアリング
情報共有のためのものなので、ミーティングではなくシェアリング(分かち合い)という
言葉をあえて使うことをおすすめする。
- 目的:情報共有を行う
- 注意①:情報共有のつもりがいつの間にか、問題点が提示され、それに対する意見が交わされるうちに問題解決のミーティングになるケースが多いので、きちんと分別すること。
- 注意②:シンク&リッスンを活用する。
- 注意③:アサ―ティブなコミュニケーション法を活用する。
2. ミーティングのルールを作る
◎やってはいけないこと ←非常に重要です。
- 結論を出さずにミーティングを終わること。
結論とは、いつ、誰が、どこで、何を、どのように作業するのか・・・のこと。 - 単なるコメントの交換、スピーチになること
会議の90%は、単なるコメントの交換、スピーチになってしまいます。
また、「その仕事を本当はやりたくない」という本心を隠したまま、提案を拒否するための言い訳のコメントも多くなります。
コメント例)
「○○は、××な理由でちょっと無理なんじゃない?」
「いや、それはそうじゃなくて、○○なんだよ!」 - 発言するときは、必ず、「明確化のための質問(=メタモデル)」、「提案か代替案」、
「リクエスト」、「自分の本当の気持ち」を伝えるようなルールにしておきます。
◎全員守ってほしいこと
- 話を聴く、問題に焦点をあてるだけでなく可能性や強みを引き出す
- 「あなたは~だ」よりも「私は~こう思う、こう感じる」「私だったら~する」で話す。
3. 目的を達成するのに必要なメンバーを集める
◎司会=ファシリテーター、書記、参加者
4. 準備する
開催日時を決め、必要な文章を用意し、当日、時間になったら会議の招集を合図する。
5. 質問力を活用したミーティングを行う(コーチングなど)
解決思考を前提として質問力のスキルを使う。(次ページ以降参照)
6. 統合する
ほとんどの場合、いろんな意見がでたとしても、結局、責任者の考え方、感性、納得いくことに添った意見が無意識的に採用されてしまう。
良い意見やアイデアではなくて、どれだけ自分の考え方やアイデアと似ているかで、決まっているケースが実は多い。
ところが、参加者の多くが納得するような大岡さばきをやってのける数少ない良い責任者の特長は、いろんな意見を統合していくことだ。
「どんな意見でも肯定的な意図がある、そして何かの意味がある。」
よく発言する参加者からでたアイデアだけでなく、発言が少ない参加者からの言葉からでも、肯定的な意味も探求し、統合していくようにしている。
組織と同じように、ネガティブ社員、給与泥棒と呼ばれる社員を切り捨てるのではなく、光と影を統合していくことが必要なように、ミーティングでもそうするように心がける。
- セルフクエスチョン例:
「もし、これらの条件がすべて満たされた上で、目標達成できるとしたら、どういう状況になるのだろう?」 - ミーティングの指針は、会社の理念に回帰する
いろんな意見やアイデアが出尽くしてもなお、判断ができない場合は、会社ミッションを何度も見直す。
また、参加者に今一度、会社ミッションを意識させて、どうすればミッションが達成できる意見やアイデアなのかという視点で判断する。
この方法だと、おおよそ即決で決まる。
7. 議事録
ミーティングで決議されたこと、継続する懸案事項等を議事録にまとめて周知する。
8. その他 ~熟成期間の法則~
ミーティングで決議され、全員一致で採決したはずのアイデア。
ところが、次の日、また次の日、と時間を重ねていくと、あら不思議、自分で決めたはずのアイデアなのに、あれこれ疑問に思ったり、後悔したりして、社長であれば、平気で決議案をひっくり返したりすることもあります。
その熟成期間については、根拠はありませんが、1週間ほどアイデアを寝かせてみて、1週間経過した後に、疑問点や新たなアイデアなどを統合して、公表し正式に決議とする方法をオススメします。(時間があればですが)