このサイトでの「カウンセリング」の定義とは、クライアントが自分の悩みや心の問題について掘り下げ、自ら意味や答えを見出し、変化を生み出し、解決に向かうまでの心理的援助をすることを意味します。
「元の状態に戻る」、あるいは「あるべき姿」を目指すのではなく、クライアントのあるがままを受け入れ、全体的プロセスに関わっていきます。
また、たんに悩みを解決するだけでなく、人が人生全般に渡って充実した生活を送り、もっている可能性や輝きを最大限に発揮することをサポートします。
※ここでの対象となるクライアントは、一般の悩みや問題を抱えた方であり、病理的な問題を伴うレベルの方ではありません。
1、カウンセリングとは
カウンセリングとは、ただクライアントの悩みを解決するだけではありません。
毎日の生活はもちろんこれからの人生において充実した生活を送り、もっと人として輝ける、活躍できる場所を作るサポートを行います。
心理カウンセリングは、誰でも活用できる貴重な手段です。
昔から、「我慢することは身体に悪い」と言われてきましたが、心にも同じことが言えます。言いたいことを我慢し続けると、心に残る思いや心のしこりができてしまいます。
しかし、実際に人に話しても、すっきりと解消できるというわけではありません。
相手が感情を持っていたり、話を好意的に受け取ってくれる保証はありません。
相手が熱心に聞いてくれなかったり、自分の話にすり替えたり、気持ちを理解してもらえなかったりすることもあります。
そこで、心理カウンセリングは自分の話を時間をかけてゆっくり聴いてもらえる、貴重な機会です。話すことによって、「聴いてもらえた」という満足感や解放感が得られ、元気になることができます。
心理カウンセリングを活用することで、自分自身について考え、自己理解を深めることができます。そして、心の健康を保つことができます。
2、相手の良い聴き手になること
カウンセラーは、クライアントの話を一切否定することはありません。どのような内容の話だとしても、受容的・共感的な態度で話を聞き、クライアントが話しやすい環境を作り出します。
これをカウンセリングマインドといい、カウンセラーであれば、誰もが身につけているスキルのようなものです。
自分自身が抱える悩みや問題を誰かに話したい…
しかし、日々の生活、実際の社会生活の中で、人に話してすっきりするということは多くありません。
それは相手にも感情や好き嫌い、価値観がありますので、すべてを好意的に受け止めてくれているとは限らないからです。
また、聴くためのプロではありませんから、熱心に聞いてくれなかったり、自分の話しにすり替えたり、気持ちを理解してもらえなかったりします。
自分の話を時間をかけてゆっくり聴いてもらえると、元気になっていったり、思わぬアイデアが自分の口から出てきたりと、そういった経験は誰にでもあると思います。
それは、話すということで、聴いてもらえたという満足感、すっきりしたという解放感があるからです。また、自分の想いを誰かに受け止めてもらいたいという気持ちは、人間にとって自然なものです。
逆に、仕事や生活上での理不尽さを誰かに愚痴ったり、悪口を言ったりしてうさばらしをしても、問題そのものは残ってしまいます。そして、誰かの責任にしたままになってしまいます。
話すことで満足感を解放感を得るというだけでなく、自分を振り返り、見つめなおしたり、それが、やがて自然に問題の解決やそのヒントへと繋がっていくようになることもあります。
そういう「話す」を実現するためには、良い聴き手に出会うことが必要です。
会話を進めていく中で、自分の心の中の問題に関わる人への感情や、出来事との関係や意味が整理されていくことで、問題解決へと繋がることがあります。
聴き手がしっかり受け止めてくれれば、自分のしたこと、言ったことを振り返る余裕が生まれてきます。
他人の責任にしていたことも、違った視点で捉えることができるかもしれません。
もちろん、簡単にはわからないことがほとんどですが、聴き手が「またゆっくり聴かせてください」と言ってくれれば、また話をしたくなるでしょう。
「起きていることに意味があると考える。起きているプロセスやクライアントの力を信頼する」という考えを知っている聴き手が、カウンセラーです。
本当に相手を動かして育てていく助けとなるのは、説得ではなく、「受け入れて聴く」ことです。
これがカウンセリングの原点になります。
3、まとめ
カウンセリングは、会話を通してただ話をするものではなくクライアントとカウンセラーの信頼関係を築き相談や会話を通し、答えを導き出していくものです。今目の前にある問題をどうしたら解決できるのか?を一緒に考え充実した生活を作ることに繋がります。
カウンセリングで自分の気付けなかった悩みや思いと向き合い、少しでも前向きに明るい毎日になるようにサポートをしていきます。
そうです。
心理カウンセリングを実際に行わなくても、あなた自身がまず「カウンセリング・マインド」を持つだけで関わる人、家族を含めて、しあわせに導くことができるかもしれません。
なぜならこのカウンセリングの技術やマインドは、人間が生きるということにとても深く結びついていると思います。
参考文献:
カウンセリング・テキスト 佐谷 力 著/ほんの森出版
河合隼雄のカウンセリング入門 河合隼雄 著/創元社出版