新しい職場で自分の能力を遺憾なく発揮しようと、意気揚々と不安とが混じる中、業務に邁進していても、最初は、自分のイメージどおりには事が運ばないものです。
本来は、時間とともに新天地の環境に少しずつ馴染んでいくものですが、場合によっては追い詰められてしまう場合もあります。
- 「辞めたい…」
- 「元の会社は良かった…」
…どうも勝手が違い、悶々と後悔や葛藤が続くこともあるかもしれません。
それは大なり小なり、誰しも起こっていることなのです。
その新天地で起こりうる試練を、予め把握しておくことで、転職先でスタート時から対処することができます。
今回は転職で失敗する背景にある、3つの試練についてご説明していきます。
転職先で「成果をだすこと」と同じくらい大切なこと
転職者が増加している昨今。総務省の「労働力調査」では、働いている人全体の転職率は4.3%のようです。また、転職の需要が増えている一方、転職後の自分の働く姿に半数がギャップを感じているという結果がでています。
同調査では、約6割の人が転職先で悩んでいることも示されています。
「人間関係」と回答した人が28.2%で最多で、「転職後に慣れなかったこと」と「転職後の悩み」どちらも人間関係に関わる結果になりました。
転職者の多くが重視するのは、以下のようなポイントです。
- 労働条件の改善
- 仕事内容に満足いかなかったから
- 収入が低かったから
実際に転職をしてみると、それとは違う問題に直面するケースが多いのです。
その会社に存在する独自の習慣やルールを把握せずに、自分都合の成果に固執しているときです。
それは、時として「人間関係」にひびが入ります。
自己満足で邁進する。ところが、他者からはなぜか嫌われてしまう。しかし理由がいまいち分からない…です。
仕事では、自分に自信がある人ほど、同僚も上司・部下も、顧客も、すべて人間関係の中で作業しているということを忘れないでおく必要があります。
経験職種からの転職の実例
ここからは、あるクライアントAさんの体験談を例にご紹介します。
上司からの期待に応えるために・・・
以前、生命保険業界で営業をしていたときのことです。年間200世帯ほどのお客様を相手に販売活動を行っていましたが、ある時、年収アップと自分の経験値を活かすために転職を決意しました。
転職先は、同じ業界の保険業界のベンチャー企業でしたが当初は事務職からのスタートとなりました。
営業から事務職への転職だったのですが、営業経験を見込まれて営業のアドバイザー的な役割の兼務も任されたため、年収はほぼ変わらずキープすることができました。
また、支店長から将来的に上に立って指導する立場になってほしいといわれ、その際には希望の年収アップをする約束も交わしました。
彼の中では、「改革をしてやろう」という想いが強く、自分の経験値を土台にして営業スタイルを見直しにとりかかりました。同時に、営業の仕組みそのものも変えようとしてきました。
当初から、ミーティングでは見事なプレゼンで改革案を提示し、新しい流れを呼び込み、支店長の右腕になったかのような立ち振る舞いをしていたそうです。
上司からの思わぬ一言。なぜ?・・・
ところが、転職して1ヶ月で人間関係がギクシャクし始めたのです。
支店長から相談がある、とのことでお話しを聞くと…
「社員のAさんがあなたのことを嫌っているようだ」とのことでした。
と言われても、こちらは正しいことをやっている自負もあるし、成果も前に進んでいる。何の後ろめたさもない。
なのに…周りの社員は、なぜか徐々に動いてくれなくなってきました。なぜ?
理由の一つとして、今までリーダー的な存在であったAさんの影響を受けていたことは明らかでした。
次第にアウェー感もでてきました。
また、本来は事務職であるにも関わらず、営業戦略もお願いしたいとのことだったので、営業戦略会議やさらに別の会議などにも参加し、あれこれ提案していました。
元からいる先輩の一部の人(=仕事ができそうな人)には、どうも良く思われていない状況にあり、上司に相談が入っていたようで、かなり不評だったようです。
そのため、時には小言を言われたり、仕事を教えてもらうにも壁を感じだしていました。
上司から期待される反面、立ち振る舞いにも悩みました。
さて、試練がやってきました…
転職後にフィードバックして分かったこと
さて、そんな試行錯誤の中、Aさんから相談をうけました。
彼はその後も、その会社に骨を埋める覚悟でしたので、それから自分自身をフィードバックしていきました。
そして一つ分かったことは、成果を出すことに拘りすぎて、社員たちから信頼されていなかったということでした。
他にもたくさんあります。それは…
- 自分が、早く成果をだしたいという我が強かった。
- 会社には独自の慣習がある。良い部分と悪い部分があり、それらは混在している。
- 会社によって顧客との信頼の築き方がある。
- その部署を仕切ってきた先輩社員の今までの経験値・知恵を無視していた。
転職先の職場をアウェーからホームグラウンドにするためには、成果をきちんと出しつつも周りから受け入れられないといけません。信頼は、そのために必要です。
転職先で待ち受ける試練は「人」を通じて発生する
転職者は、たとえ未経験であっても即戦力として早めに結果を出すことが求められます。ただし。仕事で成果を出すこと以外にも、注意しなければならないのが人間関係に関わる仕事の見極めです。
それは、大きく分けて以下の3つです。
- 仕事におけるキーパーソンの把握と「情報収集」
- 仲間からの信頼である「人心獲得」
- 転職先の企業からの「フォローアップ」
それぞれ詳しく解説していきます。
1、仕事におけるキーパーソンの把握と「情報収集」
新しい職場での「キーパーソンが誰かをいち早く情報収集する」は重要です。
キーパーソンとは、組織において、とくに影響を全体に及ぼす「鍵となる人」を指します。
先輩社員の中で、誰もが頼りにしてそうな人、です。
職場の雰囲気を作っている人や、いろいろな人から相談を受けている人望が厚い人のことです。
こういった先輩社員には、会社独自の慣習を熟知している方が多いものです。ただ、人によっては積極的に教えてくれる方もいれば、こちらから聞かないと教えてくれない人もいます。
各々の顧客との関係性でも、様々な経緯や注意点なども把握していますので、仕事に携わる上で、その方の知恵を吸収していかないといけません。
そのために必要なことは、謙虚に教えてもらうことです。
こういったキーパーソンと良い関係を作っておくことで、そのまま職場の人間関係の改善に直結するほどです。そのため、その人から教わることで人間関係を円滑にしやすくなるといえるでしょう。
2、仲間からの信頼である「人心獲得」
転職を成功させるためには、仲間から信頼される、「人心獲得」も大切な要素です。
例えば、当たり前の行動ですが以下のような行動を心がける必要があります。
- 同僚の名前をまず覚える
- 誰に対しても必ず自分から積極的に挨拶をする
- 教えてもらうことに対して、一切反発はせず、素直に何でもやってみる
- 男性に対しては問題課題の提案、女性に対しては共感する姿勢が有効
- 報連相の徹底
などです。
取引先からの信頼も必要ですが、普段一緒に働くことになる同僚からの信頼獲得は重要です。
「この人は私のことをわかってくれている」「この人は理解してくれている」と相手に感じさせるのが信頼関係を築くということです。傾聴はそのための手段の一つになります。
元の職場のやり方や考え方が正しいとしても、受け取る人の立場になって考え、自分の立ち振る舞いをどうすべきかを客観的に見つめてみましょう。
3、転職先の企業からの「フォローアップ」
転職先の企業の「フォローアップ=受け入れ態勢」は会社により千差万別です。
ルーティン作業が多くなるほどマニュアル類が整備されているはずでしょうし、営業、管理者での業務に対するフォローや引継ぎは、しっかりしているようなイメージがあると思います。
同業種からの転職でも、会社によって仕事のやり方は異なります。
そのため本来は、細かいルール一つを取っても転職者が仕事しやすいようにフォローする態勢が必要なのでしょうが、そういう仕組みが整っている会社は、意外と少ないと考えていた方がいいでしょう。
入社前には過度な期待はせずに、あらかじめ自分から積極的に質問するなど、学ぶ姿勢と行動を持つくらいの覚悟で臨んだ方がいいでしょう。
そのために仕事を熟知しているキーパーソンとなる先輩社員との関係性を良いものにしておく必要があります。
試練の起きる「半年間」を乗り越える
人間関係がうまくいっているということは、エネルギーが行きわたっているということです。
自然界であれば、潤っていることです。うまくいっていないということは、エネルギーがどこか滞っているということになります。
基本、転職先はアウェーです。孤独な状態からスタートすることになります。
転職先での環境と自分とが馴染んでいくまで、どうしても一定期間かかります。
その間は、自分にとって完璧に処理したと思っても予期せぬ指摘があったり、失敗したり、理不尽な叱られ方をしたりします。
どの職場に行ってもそうではなかったですか?
その試行錯誤と葛藤が「学び」として必ず必要なのです。
職場にもよりますが、馴染むまで3か月から半年近くはかかるでしょう。
それまでは、忍耐強く、業務に対して最善を尽くしましょう。
「守・破・離」を知る
守破離とは、武道などで修業における段階を示したものです。
「守」は、師や流派の教えを忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他流派の良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階です。
あなたがどんなに能力がある優秀なビジネスパーソンであっても、転職後はまだ「守」の段階です。少しずつ守破離の教えを意識して一歩ずつ前進していきましょう。
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