No.82 期待が現実を形成する?ピグマリオン効果とゴーレム効果

期待が現実を形成する――そんな驚くべき力を持つ現象が、「ピグマリオン効果」と「ゴーレム効果」です。

一人一人の潜在能力を最大限に引き出すにはどうすればいいのでしょうか?また、自身の否定的な期待が相手のパフォーマンスを低下させてしまうゴーレム効果をどう避ければいいのでしょうか?

この記事では、これらの心理学的現象を理解し、実生活や職場でどのように活用できるかについてご紹介いたします。

ピグマリオン効果とは

人は「期待の眼差しを向けると成果を出しやすい」という性質があるようです。

これはピグマリオン効果と呼ばれます。

ピグマリオン効果とは、人が他者からの期待に応えようとする心理現象ですから、この効果は特にリーダーシップや教育の現場で重要とされ、良い結果を引き出す可能性が高まります。

ある小学校で実施された実験では、教師に対して特定の生徒が優秀であるとの誤った情報を提供しました。

例えば、ある小学校で無作為に数名の生徒を選び「IQテストの結果、今後数カ月で学力が伸びる子ども達です」と教師にウソの情報を伝えたのです。

すると、それを信用した教師達は、生徒を期待の眼差しを向け指導しました。

結果、元の学力とは関係なく成績は伸びたという実験がありました。

相手の可能性を疑わずに、心から信じることで、相手もその期待を意識しプラスの影響を受けることがあるようです。

その反対に、「お前はダメだ」と言われ続けたり、「この子はどうせ伸びない」と思われた子どもは、その通りに成績や能力が落ちることがあるようです。

これをゴーレム効果と呼びます。

ビジネスの現場では、従業員への期待を高め、肯定的なフィードバックを提供することで、良いパフォーマンスを奨励します。

学校では、生徒が自身の能力を信じることができるよう、前向きな期待を持ち続けることが重要です。

そして家庭でも、家族が互いの可能性を信じ、支え合う環境を築くことで、心理的安全性と自尊心を高めることができます。

心の波動が伝わりやすい言葉を選ぶことで、相手はこちらの期待を受け入れてくれる可能性が高まります。

ゴーレム効果を避ける方法と対策

ゴーレム効果とは、ピグマリオン効果の逆で、ネガティブな期待が人のパフォーマンスを低下させる現象です。

言い換えれば、「この子はどうせ伸びない」といった低い期待が、結果としてその通りになってしまうことです。

それでは、この効果を避け、より良い結果を引き出すための方法と対策を考えてみましょう。

まず第一に、心の中で形成される否定的な予想や評価を避ける自覚が重要です。

人々が固定観念や先入観にとらわれないよう心掛けることで、自身や他人に対する期待を現実的かつ前向きに保つことができます。

次に、具体的な対策としては、常に肯定的なフィードバックを心掛けることです。

指導や教育の際には「できる」と信じる姿勢を持つとともに、小さな成功も称賛し、強化することが重要です。

これにより、相手が自身の可能性を信じ、自身の力を最大限に発揮できる環境を築くことができます。

学校や職場、家庭でも、心の波動は相手に伝わります。まずは相手のすべてを受け入れてあげる心を持つことですね。

まとめ

ピグマリオン効果とゴーレム効果は、期待が人々の行動やパフォーマンスに影響を与える現象を説明するものです。

ポジティブな期待が良い成果を生む一方で、ネガティブな期待はパフォーマンスを低下させる可能性があります。

この理解を基に、人々が互いに肯定的な影響を与え合う関係を築くことが重要ですね。

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