たかが「オウム返し」されど「オウム返し」:オウム返しを活用して、できる優秀な人に!

多くの方はコミュニケーション能力=話す力・考えを伝える力と思いがちですが、実はそれよりも「聞く力」が重要です。

相手の話をどのように聞き、どのような態度をとるかによって、相手との話の盛り上がり方や相手が会話後にどのような気持ちになるのかが大きく異なります。

そんなコミュニケーションに欠かせない「聞く力」のコツの1つが、相手の発した言葉をそのまま繰り返す「オウム返し」を上手に活用することです

オウム返しは、ただそのまま繰り返しているだけですが、絶大な効果があります。
そこで今回は、オウム返しの活用法をご紹介させていただきます。

人が嫌がるのは「否定」、人が欲しているのは「共感」です

知らずに知らずに「相手を否定する言葉」を使っていると、相手と話がうまく盛り上がらなかったり、相手を嫌な気持ちにさせてしまったり、次第に敬遠されるようになったり、お互いにとって不快な関係になってしまいます。

いいや、私が相手を否定するはずがない、していない!」と言われる方もいるかもしれませんね。

例えば、相手の言葉に対して「でも…」「しかし…」という言葉を使って返事をした上で、自身の考えを述べていませんか。

「でも…」や「しかし…」は、「yes but」 と言って相手を否定する接続詞になります。会話の中で否定される言葉が多いと、相手は嫌な気持ちになりがちです。

逆に、人は「共感」されると「自身が認められている」「受け入れられている」と感じるようになり、心を開くようになっていく傾向があります。

聞き上手の共通点は、会話の中で「共感」し、「傾聴」する姿勢があります。

「共感」は相手の話に同調すること、「傾聴」は相手の話に耳を傾けて聴くことです。

ナオピロナオピロ

オウム返しを活用することで、この2つのポイントを自然に押さえてくれます。
つまり、オウム返しを活用することで、聞き上手に見られて信頼感が上がり、どんな場面でも相手と打ち解けられるコミュニケーション能力が身につきます。

例1)まず普通の会話で「オウム返し」を使ってみる

オウム返しは、相手の話す言葉の一部または全部をそのまま繰り返します。

ナオピロナオピロ

そのことにより相手は、話を受け止めてもらっていると感じます。
また、自分の言葉を確認し、振り返ることにもなります。

では、沙羅さんを「話し手」、恵理子さんを「聞き手」で実践してもらいましょう。

①オウム返し

例1)ほぼ全部をオウム返しする

沙羅沙羅

急に会社の方針が変わって、不安な気持ちになったんです。

恵理子恵理子

会社の方針が変わって、不安な気持ちになったんですね。

例2)一部をオウム返しする

沙羅沙羅

急に会社の方針が変わって、不安な気持ちになったんです。

恵理子恵理子

不安な気持ちになったんですね。

例3)一部をオウム返しする

沙羅沙羅

急に会社の方針が変わって、不安な気持ちになったんです。

恵理子恵理子

急に方針が変わったんですね。

このように、その雰囲気や相手が伝えたいことに照準を合わせて、言葉の一部をそのまま繰り返すだけでも、相手は、話を受け止めてもらっていると感じてくれます。

そして、次の会話にスムーズに進めることができます。

ナオピロナオピロ

オウム返しの後に、質問や感想など一言添える返し方がありますので見てみましょう。
注意することは「でも…」や「しかし…」は絶対使わないこと。
「そして…」や「それで…」などの「and」で繋ぐようにします。

②オウム返し を行った後に一言添える

例1)オウム返し+質問

沙羅沙羅

急に会社の方針が変わって、不安な気持ちになったんです。

恵理子恵理子

急に方針が変わったんですね。
それで会社で何があったんですか?

例2)オウム返し+質問

沙羅沙羅

急に会社の方針が変わって、不安な気持ちになったんです。

恵理子恵理子

不安な気持ちになったんですね。
それでどのように方針が変わったんですか?

例3)オウム返し+感想

沙羅沙羅

急に会社の方針が変わって、不安な気持ちになったんです。

恵理子恵理子

急に方針が変わったんですね。
急に変わると慌ただしくなるし本当に大変ですよね!

例4)オウム返し+感想

沙羅沙羅

急に会社の方針が変わって、不安な気持ちになったんです。

恵理子恵理子

不安な気持ちになったんですね。
業務にも影響がでるでしょうから辛いですよね!

例5)オウム返し+感想+質問

沙羅沙羅

昨日、母と家の近くのレストランで夕食を食べたんです。

恵理子恵理子

お母さまとレストランに行かれたんですか!
とても仲が良いのですね!
それで何というレストランに行かれたのですか?

普段の会話でもよく聞くフレーズですよね。
これを何気に使うのではなくて、意図して活用できるようになることが大切です。

③相手が質問してきた場合:質問のオウム返し

相手が質問してきた場合、答えた後に質問のオウム返しで返します。

沙羅沙羅

今度の連休は何か予定とかあるんですか?

恵理子恵理子

まだ決めてないんですよ。
沙羅さんはもう予定とか決めてあるんですか?

自分の話をしたいがために、わざわざこちらに質問をしてくるというケースはよくありますよね。そういう場合は、相手にも同じ質問を返すようにしましょう。

例2)相手の会話を要約するオウム返しで、できる人に

相手との会話の中で、相手の意図がわからなくなってきたり、話にまとまりがなくなってきたり、複雑になってきたりしたときは、相手の会話を整理し、要約してオウム返しを行う方法が超効果的です。

例えば、上司から指示を受けた時にどこまでが指示なのかあやふやになってきたとき、知人の悩みやお客様との話が長くなってきて、事実、感想、要望などが複雑になってきたときなどに活用できます。

ナオピロナオピロ

相手の話の内容を一旦、整理します。
そして「私はあなたのお話の内容を〇〇〇〇と受け取りましたが、間違えはないですか?」または、「つまり、あなたの言いたいことは〇〇なんですね!」
という意図のオウム返しを行い、相手に確認します。

要約するオウム返し:話を整理し、要約して返し、確認する

相手が最も伝えたいであろうことを会話から察して、オウム返しするように心がけるとさらに効果的です!

例1)整理して、要約したオウム返し、確認

沙羅沙羅

先日、友人から上司の件で相談を受けました。
どうも指示が曖昧な上司で悩んでいるようでした。

例えば、「隣の部屋の例のあの箱ね、その中に商品が入っているから、このシール貼って、その奥の発送用の場所にまとめて置いといてくれる」と言われるので、「隣の部屋ってどこですか?」「どの箱のことですか?」「どう貼ればいいですか?」「奥って大体どの辺ですか?」…などといろいろ確認するそうです。
すると、「だから!!言われないと分からないの?」と逆にキレてしまうそうです。

指示が曖昧なので正確に伝えてほしいと言うと「たくっ、もう!」と怒られるそうです。
自分の理解力が悪いのか、それとも上司の指示の問題なのか悩んでいました。
ストレスもかなり溜まっているようです。

恵理子恵理子

なるほど。
上司からの指示が言葉足らずなところがあって、自分では指示の内容がよく判断できないと。そして、正確な指示をしてほしいと伝えても一向に改善してくれないということなんですね。
その友人の方は、きちんと正確な処理をしたいだけなのでしょうね。

例2)整理して、要約したオウム返し、確認

沙羅沙羅

昨日、朝起きたら何となく気が向いて、お昼前の時間にそのまま駅に歩いて散歩したんですよ。その後で駅前の商業施設で「バクダッド・カフェ」の映画を見ました。

恵理子恵理子

午前中に映画を見たんですね。
「バクダッド・カフェ」ですか。
それで、どうでした?

例3)キーワードを並べてオウム返し、確認する

ナオピロナオピロ

恵理子さん。午後から打ち合わせがあるので、昨日お願いしてた資料を20部ほど印刷して…、10部は配布用、6部は沙羅さんに渡してください。ホチキス止めを忘れないように。残りは私の机の上に置いといてください。××さんなどいつもの取引先にも一応メールしておいてください。いいですか?

恵理子恵理子

まず確認させてください。
「すごいコミュニケーション法」の文書を印刷。すべてホチキス止め。14時の打ち合わせ用に10部と沙羅さんに6部。残り4部をナオピロさんの机。××さんと△△さんと□□さんに同じ文書をメールする。打ち合わせ資料は、ナオピロさんにお渡しします。
それでよろしいですか?

いろいろと複雑な指示などを言われ場合は、単語だけでいいので、理解した内容をそのまま返し、「それででよろしかったですか?」「間違えているところはありませんか?」と確認します。

このような形で会話の要約を行うオウム返しを生かすことで、相手に対して話を聞いているという印象を与えるだけでなく、優秀な人だ、できる人だ、と思われます。

指示されたとき、「はい、わかりました」とだけ答える人はとても多いですが、言葉足らずでの指示に対して、「たぶんこうだろう」という思い込みも相まった二重の罠がミスを誘います。

例3)反対意見を伝えるときのオウム返しの使い方

多くの方と会話をしていると、同意できない内容を言われたときや、反対意見を伝えないといけない場面に必ず遭遇してしまいます。

このような場面で、すぐに否定して正反対の意見を返してしまうと、相手はむきになって反論したり、あるいは攻撃的に返されてしまうこともあります。

ナオピロナオピロ

だからこそ、「いやしかし…」「でもね…」「違いますよね…」などの安易な反論をするよりも、まずは共感していなくてもいいので「オウム返し」で一旦返してから、持論を展開することによって受け入れてもらえる確率がグンと上がります。

  • 「それも一理ありますよね。ちなみに…」
  • 「そうかもしれませんね。それで…」
  • 「そういう面もありますよね。同時に…」

反対意見を伝えたいときこそこんな感じで相手の主張を心地よく和らげる必要があります。

オウム返しからの反対意見・持論

例1)オウム返しからの反対意見・持論

沙羅沙羅

とてもお腹が空いたので、今日のランチは焼肉を食べに行きませんか?

恵理子恵理子

お腹が空いていてたくさん食べたいんですね。ちなみに、お代わり自由で何でも揃っているバイキングはどうですか?

例2)オウム返しからの反対意見・持論

沙羅沙羅

この懸案事項の解決策ですが、コストが高い割にはあまり効果的でない気がします。やはりB案の方が現実的で良いと思うのですが…

恵理子恵理子

確かにそういう面もありますね。それで、もう一度メリットとデメリットを比較してみましょう。ここの部分はA案の方が秀でてますね。

否定から入るのではなく。共感から入ることで、お互いに不快な思いをせずに会話を進められます。

まとめ

オウム返しは、仕事の場だけでなく、家族や日々の会話においても有効な手段です。

相手の発言に対してその言葉を繰り返し、その上で自身の考えや別の話題、質問を続けることで違和感なく会話を盛り上げられるでしょう。

多くの方から相談を受けるような聞き上手の方は、オウム返しによるコミュニケーションを実践しています。

オウム返しされているだけで相手は気持ちよくなってしまいますから、オウム返しを意識した会話を心がけることをオススメします。