超一流の狙撃手、デューク・東郷(ゴルゴ13)が放つ言葉には、時に刃物のような鋭さがあります。第136巻『涙するイエス』において、技術的な限界に突き当たり、諦めようとするプログラマーに向けられたこの一言は、現代のあらゆるビジネスパーソンにとっての「劇薬」となります。
「お前が本物のプログラマーなら、わずかな可能性でも探るはずだ…」
この言葉を胸に、明日から「代わりのいないプロ」として生きるための実践的な思考法を解説します。
第1章:【本物の定義】「できない」と口にした瞬間、プロは終わる
プロフェッショナルとは何か。資格を持っていることでしょうか? それとも、長年の経験があることでしょうか? ゴルゴ13の視点では、その答えはノーです。
「知識の罠」に陥っていないか
私たちは経験を積めば積むほど、過去のデータや定石から「これは物理的に不可能だ」「今の予算と人員では無理だ」という結論を出すのが早くなります。しかし、これは「熟練」であると同時に、自らの可能性を狭める「知識の罠」でもあります。
- 作業者(アマチュア):
既存のルールに従い、前例がないことを「不可能」と定義する。 - 本物のプロ:
ルールや定石が通用しない場所からが「本当の仕事」だと定義する。
ゴルゴが問いかけたのは、スキルの有無ではありません。「自らの職能(アイデンティティ)に対して、どれほど誠実であるか」というプライドの在り方です。「本物」を自称するならば、論理的な限界を突破しようとする「意志」が最初になければならないのです。
第2章:【可能性の探索】0.1%の隙間をこじ開ける「深掘り力」
現代のビジネスは「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「効率」が重視されます。しかし、真のブレイクスルーや危機回避において、効率は時に最大の敵となります。
効率を捨てた先に「活路」がある
ゴルゴが求める「わずかな可能性」とは、効率的な探索の先にはありません。誰もが「見る価値がない」と切り捨てた場所、0.1%の誤差、あるいはシステム上のわずかなバグのような隙間にこそ、活路は隠されています。
- 「できない理由」の解体:
「できない」という大きな壁を、「技術的な問題」「時間的な制約」「法的な壁」など、微細な要素に分解します。 - 仮説の総当たり:
分解した要素の一つひとつに対し、「もしここを1度だけ変えたらどうなるか?」という泥臭い検証を繰り返します。
ビジネスシーンであれば、競合他社が「採算が合わない」と撤退したニッチな要望や、顧客が諦めていた小さな不満を徹底的に掘り下げることが、これに当たります。「誰もが諦めるポイント」こそが、本物のプロが独走を始めるスタート地点なのです。
第3章:【実践アクション】明日から「本物のプロ」として動くために
ゴルゴのような冷徹なまでの完遂力を身につけるために、明日から取り入れられる3つの具体的ステップを提案します。
1. 「不可能」を「条件付きの課題」に変換する
明日から「無理です」「できません」という言葉を禁止してみてください。代わりにこう言います。 「現在の条件(予算・時間・手法)のままでは、到達が困難です」 こう表現した瞬間、脳は「では、どの条件を変えれば可能になるのか?」という可能性の探索モードに切り替わります。
2. 「10個の『もしも』」を書き出す
行き詰まったプロジェクトがあるなら、論理的にあり得ないと思えることでもいいので、10個の「もしも(If)」を書き出してください。
- 「もし、この納期が1年延びたら?」
- 「もし、このターゲット層が真逆の人たちだったら?」
- 「もし、AIを全く使わずに人力だけでやるとしたら?」 この強制的な思考の揺さぶりが、ゴルゴの言う「わずかな可能性」を見つけるためのトリガーになります。
3. 「プロとしての自尊心」を燃料にする
壁にぶつかった時、自分に問いかけてください。「ここで諦めた自分を、自分はプロとして許せるか?」 技術者の端くれ、営業の端くれ、あるいは経営の端くれとして、その肩書きに恥じない行動をとっているか。この「内なるゴルゴ」からの問いかけが、最後の一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。
まとめ:「本物」は可能性を「作る」人である
ゴルゴ13が『涙するイエス』で放った言葉は、相手を追い詰めるためのものではなく、相手の魂に火を灯すためのものでした。
「お前が本物のプロなら、わずかな可能性でも探るはずだ…」
この言葉の裏には、「お前には、その可能性を見つけ出す力が備わっているはずだ」という強烈な信頼が隠されています。 プロフェッショナルとは、与えられた可能性の中で選ぶ人ではありません。残されたわずかな、目に見えないほどの可能性を、自らの手で手繰り寄せ、形にする人のことです。
明日、あなたが直面する「壁」は、あなたが「本物」であることを証明するための最高のステージです。わずかな光を探し続けることを、決してやめないでください。

