外山滋比古氏の『思考の整理学』は、1983年の刊行から40年以上経った今でも「東大・京大で一番読まれている本」として、世代を超えて支持され続けています。
外山氏は、「セレンディピティ」を「単なるラッキー」ではなく「準備された心に降りてくるもの」として捉えていました。
セレンディピティを逃さないということは、言い換えれば**「予定調和を壊す勇気を持つ」**ということです。日常生活や仕事の中でこの力を高めるための、4つの具体的なアクションプランを記事にしてみました。
『思考の整理学』から学ぶ:要約と7つのポイントの記事はこちら↓

セレンディピティを逃さないための4つの実践法
1. 「無目的」な時間をスケジュールに組み込む
セレンディピティの最大の敵は「効率」と「タイトなスケジュール」です。最短距離でゴールを目指していると、道端に落ちているヒントに気づけません。
- 具体策:週に一度、あるいは一日の30分だけ、「あえて何も達成しない時間」を作ってみてください。
- やり方:普段なら絶対に入らない店に入る、目的なく書店を歩き回る、普段話さない部署の人に雑談を持ちかけるなど、「わき道」にそれる機会を意図的に作ります。
2. 異分野の「異物」を脳に放り込む
外山氏は、自分の専門分野だけに閉じこもることを「知的近親相姦」と呼び、危険視していました。
- 具体策:「ジャケ買い」や「おすすめ無視」の読書。
- やり方:書店で、自分の仕事や趣味とは全く無関係な棚(例:エンジニアなら考古学、営業職なら深海生物の図鑑など)から一冊選び、パラパラと眺めてみます。全く異なる文脈の言葉が、今抱えている悩みの解決策とカチッと噛み合う瞬間がセレンディピティです。
3. 「違和感」をメモする習慣
偶然の発見は、多くの場合「あれ? おかしいな」「ふーん、面白いな」という小さな違和感から始まります。
- 具体策:「違和感メモ(クエスチョン・ログ)」をつける。
- やり方:役に立つ情報ではなく、「なぜだろう?」と思った疑問や、心が動いた些細な出来事をメモします。
例:「最近、あそこのカフェに高齢者が増えているのはなぜ?」「この不便なアプリが流行っているのはなぜ?」
このメモが後日、別のプロジェクトと結びついたとき、それは素晴らしいセレンディピティへと変わります。
4. 失敗やエラーを「贈り物」として捉え直す
歴史的な大発見(ペニシリンやポストイットなど)の多くは、実験の失敗から生まれています。
- 具体策:「失敗の再定義」。
- やり方: 仕事でミスをしたり、予定が狂ったりしたとき、「最悪だ」で終わらせず、「この状況だからこそ、新しく気づけることはないか?」と自分に問いかけてみてください。思い通りにいかない時こそ、セレンディピティが顔を出す最大のチャンスです。
セレンディピティを育むための「心の持ちよう」
外山氏は本書の中で、こんな趣旨のことを述べています。
「網を張っていなければ、魚はかからない。しかし、網を強く引きすぎても魚は逃げてしまう」
「何かを見つけてやろう!」とギラギラしすぎず、かといって漫然と過ごすのでもない。「何か面白いことが起きるかもしれない」という、穏やかな期待(オープンマインド)を持って過ごすことが、一番の近道です。
はじめの一歩として
まずは明日、**「いつもと違うルートで通勤・移動する」、あるいは「コンビニで普段絶対に買わない飲み物を買ってみる」といった、小さなしっぽを掴む練習から始めてみませんか?
参考書籍:外山滋比古 著『思考の整理学』


