私たちは日々、予期せぬトラブル、厳しい評価、苦手な人間関係、そして自分自身の欠点といった「不都合な現実」に直面します。その時、多くの人は「なんて最悪なんだ」「自分には無理だ」と、ネガティブな感情に支配されてしまいます。
しかし、NLPの視点に立てば、出来事そのものに「良い」「悪い」という色はついていません。 出来事に意味を与え、感情を作り出しているのは、他ならぬあなた自身が持っている「心のメガネ(フレーム)」なのです。
このフレームを自在に掛け替える技術「リフレーミング」、そして未来を先取りする「アズイフフレーム」を習得すれば、あなたの世界は一瞬で姿を変え、無限の選択肢が目の前に広がります。
1. リフレーミングとは? ―― 意味を決めるのは「枠組み」
リフレーミングとは、ある出来事や状況を囲んでいる「枠組み(フレーム)」を外したり、掛け替えたりすることを指します。
同じ絵でも、重厚な金の額縁に入れるのと、ポップな色の額縁に入れるのとでは、受ける印象が全く変わります。心理学においても同様に、事実に付随する「解釈の枠」を変えることで、私たちの感情や行動は劇的に変化します。
例えば、コップに水が半分入っているとします。
- 「半分しか入っていない」というフレームで見ると、不足感や不安が生まれます。
- 「半分も入っている」というフレームで見ると、満足感や可能性が生まれます。
水が半分であるという「事実」は一つですが、どのフレームで見るかによって、その後のあなたの行動や幸福度は180度変わります。リフレーミングの本質は、「自分を制限する解釈」を「自分を勇気づける解釈」に意図的に書き換えることにあるのです。
リフレーミングの極意: 事実は変えられないが、事実に与える「意味」は100%自分で自由に選べる。
リフレーミングとは、人や物事の心理的枠組み(フレーム)を変えることによって解釈を変化させ、理想に向かえる有効な状態にしていくものです。
2. 実践!リフレーミングの2つの主要パターン
リフレーミングには、大きく分けて「意味のリフレーミング」と「状況のリフレーミング」の2種類があります。
① 意味のリフレーミング(解釈を変える)
その出来事が持っている「意味」を別の視点から捉え直す手法です。
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事例:大事なプレゼンで失敗した
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従来のフレーム: 「自分には才能がない。もうチャンスは来ないだろう」
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リフレーミング: 「この失敗のおかげで、自分の弱点が明確になった。これは次の大きな商談で成功するための『最高の予行演習』だ」
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事例:雨が降ってきた
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従来のフレーム: 「予定が台無しだ。最悪の気分」
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リフレーミング: 「今日は家でゆっくり本を読む『恵みの時間』ができた。農作物の成長にも欠かせない大切な日だ」
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事例:大規模なプロジェクトから外された
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従来のフレーム: 「自分は期待されていない。もう出世の道は閉ざされた」
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リフレーミング: 「会社は私に『新しいスキルを習得するための時間』をくれたのだ。ここで一度基礎を固め直せば、次はさらに大きな責任ある立場を任せてもらえる準備ができる」
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事例:競合他社に大きな契約を取られた
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従来のフレーム: 「負けた。自分の営業力不足だ」
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リフレーミング: 「自社の提案の何が弱かったのかを、顧客が身をもって教えてくれた貴重なフィードバックだ。このデータを分析すれば、次は無敵の提案ができる」
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【明日から使える問いかけ】 「この出来事には、他にどんな素晴らしい意味があるだろう?」
【達人の問いかけ】 「もし、この最悪に見える状況が『最高のギフト』だとしたら、神様は何を私に伝えようとしているのだろう?」
② 状況(コンテキスト)のリフレーミング(場所を変える)
「ある状況では欠点に見えることも、別の状況では長所になる」という視点を持つ手法です。
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事例:自分の性格が「優柔不断」である
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今のフレーム: 「決断が遅くて仕事が進まない」
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状況のリフレーミング: 「リスクマネジメントが必要な精密なプロジェクトや、慎重さが求められる契約業務においては、この『慎重さ』が最大の武器になる」
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事例:同僚が「お節介」で困る
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今のフレーム: 「自分の領域に踏み込んでこないでほしい」
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状況のリフレーミング: 「新人研修や、チームの連帯感が欠けている過渡期においては、彼の『面倒見の良さ』は不可欠な才能だ」
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事例:部下が「空気が読めない」
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職場での不満: 「会議の調和を乱す、困ったやつだ」
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状況のリフレーミング: 「忖度や同調圧力が強い今の組織において、彼は『誰もが言い出しにくい本質的な問題』を指摘できる唯一の存在だ。コンプライアンス部門や改革チームでは、この『空気の読めなさ』が宝になる」
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事例:自分が「飽きっぽい」
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自己否定: 「何をやっても長続きしない、ダメな人間だ」
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状況のリフレーミング: 「ルーチンワークには向かないが、変化の激しい新規事業立ち上げや、多種多様なトレンドを追うマーケティングの世界では、この『好奇心の強さと切り替えの早さ』は天才的な才能になる」
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3. 未来を先取りする「アズイフフレーム(As-if Frame)」
リフレーミングと並んで強力なのが、「アズイフフレーム」です。「As if」とは「あたかも〜であるかのように」という意味です。
「できない」「わからない」「自信がない」と壁にぶつかった時、私たちの脳は思考停止に陥ります。そこを強引に突破するのがこの魔法の質問です。
「もし、すでに解決しているとしたら……?」 「もし、あなたが憧れのリーダーだとしたら、どう行動する……?」
なぜ「アズイフ」が効くのか?
脳は「仮定」の話をされると、クリティカル(批判的)な門番が一時的に眠り、無意識の中にあるリソースを検索し始めます。「現実はまだできていない」というブレーキを外し、脳に「解決後のシミュレーション」を強制的に行わせるのです。
ビジネスでの活用シーン
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行き詰まった会議で: 「今は予算がないという話ばかりですが、もし予算が潤沢にあるとしたら、私たちは本当は何を実現したいですか?」
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自信がないプレゼン前に: 「もし自分がスティーブ・ジョブズだとしたら、このステージにどう歩み寄り、第一声をどう発するだろうか?」
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部下のコーチングで: 「『できない』と言うけれど、もし仮に魔法が使えて、明日にはこの問題が完璧に解決しているとしたら、今と何が違っているかな?」
アズイフフレームを使うことで、現在の制限から一時的に自分を解き放ち、「未来の視点」から現在を見下ろすことが可能になります。
4. 欠点を強みに変換!リフレーミング辞典(短所→長所)
自分の性格や他人の言動にイライラした時、この変換リストを思い出すだけで、心の余裕が生まれます。
| 目の前のネガティブな言葉 | リフレーミング(新しいフレーム) |
| 失敗した | 成功しない方法を一つ発見した(学習した) |
| 優柔不断である | 多角的に検討できる、慎重で思慮深い |
| 理屈っぽい | 論理的思考に長けている、客観的である |
| 仕事が遅い | 丁寧でミスが少ない、品質を重視している |
| 頑固である | 自分の信念を持っている、軸がぶれない |
| 図々しい | 積極的である、物怖じしない、行動力がある |
| 八方美人である | 調整能力が高い、誰とでも調和が取れる |
| 心配性である | リスク管理能力が高い、準備を怠らない |
| 上司が厳しい | 高い基準を求めてくれている、期待の裏返し |
| 市場が縮小している | ニッチな強みを磨くチャンス、淘汰の後の独占 |
5. ビジネス現場での「リフレーミング」活用術
プロのビジネスパーソンは、リフレーミングを「交渉」や「マネジメント」に活用しています。
A. 顧客からのクレーム
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拒絶として捉える: 「嫌われた、もう取引は終わりだ」と萎縮する。
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リフレーム: 「お客様は、我が社にまだ『期待』してくれている。本音を聞けるこの機会を活かせば、他社が入り込めないほどの強い信頼関係を築ける」
B. 高すぎる目標設定
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負担として捉える: 「無理だ、疲弊するだけだ」
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リフレーム: 「今のままのやり方では到達できないからこそ、これまでの古い習慣を捨て、革新的なアイデアを生み出すための『創造的刺激』になる」
C. 苦手な上司の厳しい叱責
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攻撃として捉える: 「パワハラだ、人格否定だ」
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リフレーム: 「上司はそれだけこの仕事の『品質』に妥協したくないのだ。私の成長を、手加減なしのプロフェッショナルとして扱ってくれている」
6. 【実践ワーク】リフレーミング脳を鍛える3ステップ
リフレーミングは筋トレと同じです。意識的に繰り返すことで、無意識にポジティブなフレームを選べるようになります。
ステップ1:ネガティブな感情に「ラベル」を貼る
「イライラする」「悲しい」と感じたら、即座に「あ、今私は『〇〇』というフレームで世界を見ているな」と気づいてください。客観視するだけで、フレームは外れやすくなります。
ステップ2:逆説的な質問を自分に投げる
「この状況が、もし私への『特訓』だとしたら?」「10年後の自分から今の自分を見たら、どうアドバイスするだろう?」と問いかけます。
ステップ3:アズイフで行動を書き換える
「もし、私がこの状況を完璧に楽しめる人間だとしたら、今この瞬間に何をするだろう?」と考え、その行動を小さく一つだけ実行します。
5. まとめ:世界を「再定義」する力を手に入れる
私たちの人生は、起きた出来事の集積ではありません。起きた出来事をどう解釈したか、という「物語」の集積です。
これまでのあなたは、周囲や過去の経験から与えられた「古いメガネ」で世界を見ていたかもしれません。しかし、今日からは違います。あなたには、どんなに暗いニュースも、どんなに厳しい叱責も、自分の成長のための「伏線」に変える力があります。
「もし、今日この瞬間から、私が世界で一番自由で創造的なコミュニケーションの達人だとしたら……?」
そう、アズイフフレームで自分に問いかけてみてください。 その瞬間に見える景色こそが、あなたがこれから歩むべき新しい現実なのです。
【明日からできるワーク】
今日一日の中で、あなたが「嫌だな」と感じた出来事を3つ書き出してみてください。そして、その横に「これは〇〇のチャンスだ!」「この状況が役に立つ場面はどこだ?」と自分に問いかけ、強引にでもリフレーミングしてみましょう。
その瞬間、あなたの心に少しでも「軽さ」や「意欲」が生まれたなら、リフレーミングは成功です。


