職場や学校・家庭などの人間関係に悩んでいる人は多いものです。「なんであのひとは私の気持ちがわからないんだろう」と思い、落ち込んでしまう人もいるのではないでしょうか。このような経験はあなただけでなく、誰もが人生で一度は経験しているものです。人間関係を良好に保つ為には相手を理解することといっても難しいものです。そんなあなにこそ「ポジションチェンジ」の手法を説明していきます。
1、ポジションチェンジとは
1970年にフリッツ・パールズのゲシュタルト療法が米国では主流だと考えられていました。ポジションチェンジの基盤となっているのはNLP心理学の「知覚位置」と呼ばれるものです。物事を認識するとき、見る位置によって情報が変わってしまうという考え方のことです。
例えば全く同じ図形でも横から見たとき、上から見た時、角度を変えてきたときでは違った図形に見えます。1つの位置から図形を見るのではなく、複数の角度から図形をみたほうが、正確に認識できるとしたものです。あなたも同じような体験をしたことがあるのではないでしょうか。
この視点の持ち方は人間関係でも同じことで、話す機会が少ない相手だとおとなしい人だと思いがちですが、仲良くなるとよく話す明るい人だったなんてこともあります。見た目はきつい印象が持たれがちな人で苦手だと思っていたものの、仕事はきちんとするし優しい人だったなど視点を変えてみると、意外な一面を知ることも少なくありません。
2、ポジションチェンジのワーク方法とは
ポジションチェンジとは相手の世界に入り、視点や思考を汲み取ること、健全な関係性を作る技法です。ポジションチェンジには3つのポジションがあります。
- 第1のポジション(自分の視点)
- 第2のポジション(相手の視点)
- 第3のポジション(第三者の視点)
ポジションチェンジのワークは以下の手順で進めていきます。
- 自分用・相手用の2つの椅子を用意します
- 自分の椅子に腰掛けポジションから相手に話しかけます
- 相手に何を感じたのか聞き、言葉のやりとりをします
- 両方の椅子を移動しながら会話を進めていきます
- 何度か行ったうえで、第三者の視点に立ってみて会話を聞いたときにどのように感じるのかを、客観的な意見として意見を引き出します。
特に“相手の視点”から自分を見たときに、姿勢・しぐさ・言葉などを真似てみると自分では気付いていなかった発見ができることもあります。
ポジションチェンジのワークはただ想像するだけではなく、実際の相手の視線になることによって相手への理解を高めることにも繋がります。また抱えている問題解決の糸口にもなるので、とても実践的で学びの多いワークです。
立場を変えるだけで本当に相手のことがわかるの!?なんて疑問に思う人もいるかもしれません。でも大きな問題を解決に導く為にも必要なのがポジションチェンジになるのです。
よく相手の立場になって物事を考えなさいは誰もが言われたことのある言葉だと思います。でも実際のやり方をしらない人が多いと思います。その点、ポジションチェンジでは自分が想像して居た以上に自分の意外な一面を知ることになるのです。ポジションチェンジは短時間で結果を出せるワークなので、取り入れやすい特徴もあるのです。
3、ポジションチェンジはどんな場面で活用できる?
ポジションチェンジは、組織の意見がまとまらないときや友人・家族など人間関係のトラブルを抱えているときにこそ試して欲しい方法です。誰かと対立してしまったとき、人間の多くは自分の視点でしか物事が見えなくなってしまいます。
でもこれでは独りよがりの考え方になってしまいます。自分の視点だけでなく相手の視点で見て見ると、お互いの言い分の意味が見えてくるのです。関係を修復できないと思っていた関係であっても、意外な一面を知ることでお互いが歩み寄るポイントを知ることも。
物事に対して冷静な判断力がつくので、ポジションチェンジは役に立つはずですよ。また家族間や夫婦間のトラブルでも立場が変わると見えてくることがあります。どれだけ自分のことを考えて行動してくれていたのかを知り、感謝の気持ちでいっぱいになるかもしれません。
4、まとめ
ポジションチェンジは結果に繋げやすい手法の一つです。相手の視点に立って物事を見てみると、意外な発見があることも珍しくありません。同じ立場、同じ状況にいてもそれぞれ物の見方や感じ方は違うものです。実際に試してみるとポジションチェンジがいかに役立つ手法かわかるはずですよ。