NLP(神経言語プログラミング)における最高峰の承認スキルである「スポンサーシップ」を、リーダーや同僚との関係を深めたいビジネスパーソン向けの記事にしてみました。
単なる「褒める」を超え、相手の存在そのものを認め、才能を呼び覚ますための具体的な関わり方を解説します。
「一生懸命やっているのに、誰にも気づいてもらえない……」
「ミスをして落ち込んでいる部下に、どう声をかければいいか分からない」
「表面的な褒め言葉を並べても、相手の心に響いていない気がする」
職場の人間関係において、私たちが最も求めているもの。それは「成果への評価」以上に、「自分の存在そのものを認めてもらうこと」ではないでしょうか。
NLP(神経言語プログラミング)には、「スポンサーシップ」という概念があります。これは、相手が持つ「本来の価値」や「可能性」に光を当て、「私はあなたの存在を見ている(認めている)」というメッセージを送り続ける技術です。
この記事では、相手のパフォーマンスを根底から変える「スポンサーシップ」の極意を、明日から使える具体例とともに解説します。
1. スポンサーシップとは?「褒める」との決定的な違い
多くの人が「承認」を「褒めること(評価)」だと考えています。しかし、スポンサーシップはそれよりもずっと深いレベルの関わりです。
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一般的な評価(Doingへの承認): 「この資料、よくできているね(行動への賞賛)」「目標達成おめでとう(結果への賞賛)」
⇒ 成果が出ている時は良いですが、失敗した時には機能しません。
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スポンサーシップ(Beingへの承認):
「あなたという存在が、このチームには必要なんだ」「君の中には、素晴らしい粘り強さがあるね」
⇒ 結果の良し悪しに関わらず、相手の「アイデンティティ(存在意義)」そのものを肯定します。
スポンサーシップ(Sponsorship)の語源は、ラテン語の「誓う(spondere)」にあります。つまり、「私はあなたの味方である」と誓い、相手が自分らしく輝くための「場」を提供することなのです。

2. スポンサーシップの2つの眼:「私は見ている」「私は観じている」
相手をスポンサリング(支援)する際、私たちは2つの視点を持ちます。
① 「私は見ている(I see you)」
相手の表面的な行動ではなく、その奥にある「意図」や「リソース(才能)」に注目します。
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プレゼンで緊張している人を見て、「緊張しているな」で終わらせず、「それだけこの仕事を大切に思っているんだな」という肯定的な意図を見つけます。
② 「私は観じている(I sense you)」
相手が言葉にできない雰囲気や、心の奥にある「可能性」を感じ取ります。
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「今はまだ自信がなさそうだけれど、彼の中には周囲を明るくするリーダーの素質が眠っている」という予感を信じることです。

3. 【具体例】明日から職場で使えるスポンサーシップの魔法
具体的なシーンで、どのように言葉をかければいいのか見てみましょう。
事例A:大きなミスをして自信を失っている部下へ
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× 逆スポンサーシップ(否定): 「なんでこんなミスをしたんだ? もっとしっかりしてくれ(人格を否定するニュアンス)」
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◎ スポンサーシップ: 「今回の結果は残念だったね。でも、君が最後まで責任を持って対応しようとした姿勢を、私はしっかり見ているよ。 君のその責任感は、これからのこのチームに不可欠なんだ。」
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効果: 相手は「失敗した自分」を責めるのをやめ、「期待に応えたい」という前向きな意図を取り戻します。
事例B:会議で発言が少ない控えめな同僚へ
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× 無関心(非スポンサーシップ): 何も声をかけず、発言力のある人だけで話を進める。
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◎ スポンサーシップ: 「Aさんの視点はいつも鋭いから、何か気づいたことがあればぜひ聴かせてほしい。君がここにいてくれるだけで、議論が深まる感じがするんだ。」
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効果: 自分の居場所(プレイス)を感じ、安心して能力を発揮できるようになります。
4. 明日から実践できる「スポンサーシップ・3ステップ」
特別なスキルは必要ありません。明日、誰かと接する時に以下のステップを意識してみてください。
Step 1:相手の「プレイス(居場所)」を確保する
相手と接する時、心の中で「ここにいていいんだよ(You have a place here)」と呟きます。その安心感は、あなたの表情や声のトーンを通じて相手に伝わります。
Step 2:肯定的なレッテルを貼る
「あの人は仕事が遅い」といったネガティブなレッテルを剥がし、「あの人は丁寧に仕事をする人だ」という新しい視点で観察します。
Step 3:目に見えない「リソース」を言葉にする
「君の〇〇なところが素晴らしいね」と、相手が自分では気づいていない長所(粘り強さ、優しさ、誠実さ、視点のユニークさなど)をフィードバックします。

5. まとめ:スポンサーシップは「ギフト」である
スポンサーシップは、相手に与える最高のギフトです。
人は「誰かに見守られている」「自分の価値を信じてくれている人がいる」と感じた時、自らの内側から驚くような力を発揮し始めます。
あなたが誰かのスポンサーになれば、その相手もまた、誰かのスポンサーになっていくでしょう。そんな「存在を認め合う文化」が広がれば、職場はもっとクリエイティブで、温かい場所に変わっていくはずです。
明日、あなたが最初に出会う人に、どんな光を当ててみますか?
「働く人のコミュニケーション学」では、あなたと、あなたの周りの大切な人が共に輝くためのヒントをお届けしています。


