職場でモヤモヤするのに理由が説明できない—その感覚には、ちゃんと名前がある

職場ストレス

「別に、いじめられているわけじゃない」 「怒鳴られるとか、そういうわけでもない」 「でも、なんかしんどい」

その「なんか」が、うまく言葉にならない。

誰かに相談しようとしても、具体的なエピソードが出てこない。「何があったの?」と聞かれると、「うーん、特には……」と答えてしまう。

だから、自分でも「これって気にしすぎなのかな」と思い始める。

でも、身体はちゃんと反応している。朝が重い。日曜の夕方が怖い。何もしていないのに疲れている。

この記事では、そのモヤモヤが「説明できない」まま残り続ける理由を、5つの視点から静かに整理していく。

あなたの感覚は、おかしくない。ただ、まだ言語化されていないだけかもしれない。

「大したことじゃない」と思うこと自体が、すでに消耗のサイン

職場のモヤモヤが言語化しにくい一番の理由は、多くの人が「これは訴えていいレベルの問題なのか」と自己検閲しているからだ。

「ハラスメントを受けているわけじゃない」 「残業が多すぎるとか、そういう明確な問題でもない」 「みんな同じ環境で働いているし」

こうやって「大したことではない」と自分に言い聞かせているうち、感覚が鈍っていく。

でも、これが実は大きな誤解だ。

しんどさには「説明できる種類」と「説明しにくい種類」がある。

ハラスメントや過重労働は前者だ。証拠があり、言葉にしやすい。

でも、後者はもっと静かで、地味で、じわじわと積み重なっていく。

「この場の空気が苦しい」「誰かの何気ない一言が刺さる」「自分だけ何かズレている気がする」——これらは、説明しにくいだけで、確実にコストを払い続けている。

「言葉にできないから、大したことじゃない」は、ならない。

むしろ、「言葉にできないのに消耗している」という状態は、かなり注意が必要なサインだ。

モヤモヤが言語化されないのは、個人の問題じゃなく”構造”の問題

「自分の感受性が強すぎるのかも」と思ったことがある人は多いはずだ。

でも、それは少し違う。

職場のモヤモヤが説明しにくくなる構造には、主に5つの原因がある。

  1. 価値観のズレが積み重なっている
    仕事の進め方、優先順位の付け方、「当たり前」の基準。これらが周囲と微妙にズレていると、毎日小さな摩擦が発生する。一つ一つは軽微だが、積み重なると体感としての重さになる。
  2. 「見えない役割期待」がかけられている
    明示されていないのに、「この人はこういう人」というイメージが周囲に定着していることがある。気がつけば、断りにくいポジションや、損な役回りが自然に割り振られている。それに気づいた時の感覚が、モヤモヤとして残る。
  3. 承認のルートが自分に向いていない
    頑張っているのに評価されない、というより、「評価される基準」そのものが自分の仕事スタイルとかみ合っていない職場が存在する。真面目に丁寧にやるほど、むしろ目立たなくなる環境というのは、実際にある。
  4. 「話してもいいか」の判断が難しい場の空気
    チームや上司との関係が「悪い」わけではないが、本音を話せる空気でもない。そういう中間地帯が一番しんどい。「言えない」ではなく「言っていいかわからない」という状態は、じわじわと孤立感を育てる。
  5. 自分自身の変化に気づいていない
    モヤモヤの原因が、外ではなく、自分の内側にある変化であることもある。かつては気にならなかったことが、今は気になる。それは感受性が高まったのか、疲弊しているのか、あるいは何かが変わったのか。その変化を言語化するタイミングがないまま、時間が過ぎていく。

これらは「あなたが弱い」のではなく、「そういう構造に置かれている」ということだ。

同じ職場、同じチームに置かれた時、似たタイプの人が似たように消耗していく——それは偶然ではなく、構造が生み出している必然に近い。

「うまく説明できない」は、感覚が間違っているのではなく、まだ言語化されていないだけ

人は、言葉になっていない感覚を「存在しない」ように扱ってしまうことがある。

「言えないということは、たいしたことではないのかも」と。

でも、それは逆だ。

言葉にならない感覚の方が、むしろ深いところから来ていることが多い。

身体の疲れ、朝の重さ、何気ない場面での違和感——これらは、あなたの感覚が何かを察知しているサインだ。

それを「気にしすぎ」と処理し続けると、感覚そのものが鈍くなっていく。そして気づいた時には、かなり消耗した状態になっていることがある。

「言語化できないモヤモヤ」を持っている人が最初にすべきことは、解決策を探すことではない。

まず、「自分の感覚を否定しない」ことだ。

そのモヤモヤは、何かを受け取っている証拠だ。
そして、その何かには必ず、名前がある。

今日から試せる、小さな認知の整理

行動を変える前に、まず感覚を整理してみてほしい。

問い①:「しんどい」と感じるのは、どの場面が多いですか?

会議中なのか、特定の人と話すときなのか、業務の内容そのものなのか。場面を一つでも特定できると、モヤモヤの輪郭が少しだけ見えてくる。

問い②:1年前の自分と比べて、「気にならなかったことが気になる」ようになっていますか?

この問いに「そうかも」と感じるなら、疲弊が蓄積している可能性がある。それは怠けではなく、身体がサインを送っている状態だ。

答えを出す必要はない。
ただ、「自分が今どこにいるのか」を少し眺めてみることが、最初の一歩になる。

次に読んでほしい記事

職場のモヤモヤが言語化しにくい理由は、あなた個人の問題ではなく、置かれた構造や環境との相互作用から生まれていることが多い。

そのモヤモヤをもう少し丁寧に整理したい方、「なんとなくつらいけど、理由が説明できない」という状態をもう少し深く理解したい方は、こちらの記事も読んでみてほしい。

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